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公法系第1問(憲法)の解き方について(3)

【丙】
C社は,A市を被告として,本条例が違憲であると主張して,国家賠償請求訴訟を提起した。

〔設問1〕
あなたがC社の訴訟代理人であるとしたら,どのような憲法上の主張を行うか。なお,本条例による会費の算出方法の当否及び営業停止処分の日数の相当性については,論じなくてよい。
〔設問2〕
想定される被告側の反論を簡潔に述べた上で,あなた自身の見解を述べなさい。


【丙】は平成26年司法試験予備試験の憲法の問題の一部です。国家賠償請求訴訟という場において、どのような憲法上の主張を行うかが問われています。憲法上の主張を行うのは、C社の訴訟代理人としてのあなたです。訴訟代理人と代理人は違います。問題文で使われている表現を勝手に変えるのは厳禁です。

そこで、(想定される?厳密には、この表現は被告の反論の部分で使うべきです。)悪い論述例を示します。
「C社は、本件条例が憲法○条に反するから、国家賠償請求法上違法であると主張する。」

①前述したとおり、C社が主張するのではありません。C社の訴訟代理人(であるあなた)が、C社の憲法上保障されている権利が不当に制約されているから違憲であると主張するのです。②次に、細かなことですが、この問題では違憲の疑いがあるA市の条例について、「本条例」というとの断り書きがなされていました。それにもかかわらず、勝手に本件条例と書くのは誤りです。細かなことですが、問題文に逆らってはいけません。③さらに、国家賠償法上違法かどうかが問われているのではありません。何度も書きますが、「どのような憲法上の主張を行うか。」との設問に対して、素直に、かつ簡潔に答える必要があります。そして、法律の正式名称は国家賠償法です。


では、書き出しの文章はどうあるべきでしょうか。
「私がC社の訴訟代理人であるとしたら、国家賠償法上の違法を基礎づけるため、A市の本条例によって、C社の××の自由(憲法○条)が不当に制約されているので違憲であるとの主張を行うことが考えられる。」

司法試験の問題となる「××の自由」が憲法の条文でストレートに保障されていることは稀です。したがって、書き出しの文章に続けて、問題となる「××の自由」が引用した憲法の条文で保障されていることの論証をする必要があります。


ところで、「採点実感等に関する意見」(以下「採点実感」という。)を読むと、紋切り型の答案はいけない旨書いています。しかし、制限時間内に、自分の頭でそれらしい表現を思いつくことができますか。人権に関する問題を処理するパターンを身につけることは何も悪いことではないのです。ただし、問題の特殊性は考えてほしいところです。

また、「当てはめ」という言葉を嫌う考査委員がいるのも事実です(平成26年司法試験公法系の採点実感から抜粋:毎年のように採点実感で指摘しているためか,判断枠組みを前提として事案を検討する際に,「当てはめ」という言葉を使用する答案は,少なくなってはいるが,なお散見される。また,「当てはめ」という言葉を使って機械的な「当てはめ」を行う答案の問題性が際立つ。これも毎年のように指摘しているためか,行頭・行末を不必要に空けて書く答案は,少なくなってきてはいる。しかし,他方で,1行の行頭及び行末の各3分の1には何も書かず,行の真ん中部分の3分の1の部分だけに書いている答案などがなお存在する。)。考査委員が「当てはめ」という言葉を嫌っているということは、それに類似する言葉(項目立て)も嫌っていると考えるのが筋でしょう。これ以上は書きません。

まずは過去問を検討し、出題の趣旨を読み、さらに採点実感を読みましょう。採点実感を読んでおきながら、本試験であえて考査委員の気持ちを逆なでするような答案の書き方をするというのであれば、良い根性をしています。我が道を進んで頂いて構いません。

ところで、【主張→反論→私見】のパターンを踏みますが、問題とすべき点が2つあって、各主張、反論、私見を書くのに1ページを費やしていたら、どうなるでしょうか。今回は予備試験の問題を題材にしましたが、予備試験の論文式試験の答案用紙は表裏4ページになっています。したがって、書ききれないことも考えられます。ここで、考え方を切り替える必要があります。そういう問題に遭遇したら、受験生の上位5分の1に入るくらいの答案を書けば合格すると言い聞かせ、他の受験生が何を書くか考えましょう。論文式試験では、答案用紙に書いた内容だけが採点の対象になります。かといって、答案用紙に目一杯書かれている答案が出たら、考査委員はこれを読んでいてうんざりするはずです。

それから、句読点の区別ができていないものや(そのくせ、やたらに「. 」を打っている。)、1つの文章が終わるごとに改行して段落を設けているものがいるとすれば(あくまでも仮定の話です。)、日本語の文章作法が分かっていないと判断される危険があります。小学生レベルの問題です。否、小学生の方がきちんとしているかもしれません。なお、後者については、平成22年司法試験公法系第2問で改めるように注意されています。法科大学院で教鞭をとっている先生方、こんなことをと思わずに、きちんと指導してやって下さい。



【平成22年司法試験公法系第2問の採点実感から抜粋】
(4) 設問に答えていない答案について
・問題文をきちんと読まず,設問に答えていない答案が多い。
・問題文の設定に対応した解答の筋書を立てることが,多くの答案では,なおできていない。
(5) 字が乱雑で判読不能な答案について
・字が汚い答案(字を崩す)が多い。時間がないことも十分に理解できるが,かい書で読みやすく書かれている答案も多く,合理的な理由とはならないであろう。例えば,「適法」「違法」のいずれかであることまでは判別できるが,それ以上判別する手掛かりがなく,一番肝心な最終結論が分からないという答案も散見された。
・字を判読できない答案には閉口した。字の上手下手があるのは当然であるが,そうではなく,読まれることを前提としないかのような殴り書きの答案が相当数あった。時間が足りなくなって分かっていることを全て記載したいという気持ちは理解できるが,自分の考えを相手に理解させるのが法曹にとって必須の要素と思われ,その資質に疑問を感じざるを得ないように思った。
(6) 答案における文章表現について
一文一段落という,実質的に箇条書に等しい書き方をする等,小論文の文章としての体裁をなしていない例が少なくない。
・「この点」を濫発する答案が少なからずあったが,「この」が何を指示しているのが不明な場合が多く,日本語の文章としても,極めて不自然なものとなっている。
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