Entries

公法系第1問(憲法)の解き方について(1)

【甲】
そこで,Xは,A市が助成の要件として本件誓約書を提出させることは,自らの方針に沿わない見解を表明させるものであり,また,助成が受けられなくなる結果を招き,Xの活動を著しく困難にさせるため,いずれも憲法上問題があるとして,訴訟を提起しようとしている。
〔設問〕
Xの立場からの憲法上の主張とこれに対して想定される反論との対立点を明確にしつつ,あなた自身の見解を述べなさい。なお,条例と要綱の関係及び訴訟形態の問題については論じなくてよい。

【乙】
〔設問1〕
あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして,性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるためにどのような主張を行うかを述べなさい。(中略)なお,同法が憲法第31条及び第39条に違反するとの主張については,他の付添人が起案を担当しているため,論じる必要はない。
〔設問2〕
〔設問1〕で述べられたAの付添人の主張に対する検察官の反論を想定しつつ,憲法上の問題点について,あなた自身の見解を述べなさい。

憲法の答案の書き方について検討したいと思います。上記【甲】は平成28年司法試験予備試験憲法の問題の一部分、同【乙】は同年司法試験公法系第1問、つまり、憲法の設問部分です。両者を比べて分かるのは、問題のスタイルが同じであるということです。つまり、(ある人物からの)憲法上の主張、それに対して想定される(反対当事者からの)反論、私見が問われているということです。そこで、注意すべき点を列挙します。

まず、憲法上の主張が問われているのですから、その主張の中に憲法の条文が引用されていることが必要となります。【甲】はある訴訟を想定し、【乙】は性犯罪者継続監視法という架空の法律が憲法に反するかどうかを検討するのですが、特に【甲】の場合は、Xが訴訟において勝訴するかどうかが問われているのではありません。あくまでも、提起する訴訟において、Xがどのような憲法上の主張をするかが問われているのです。したがって、この問いに対して、素直に、かつ簡潔に答える必要があります。これが問いに答えるということです。

次に、話が飛躍して恐縮ですが、最近の力士はインタビューに答えるのが上手くなったように思います。昔、取組直後のヒーローインタビューでは、元々息が上がった状態ですから、口下手な力士は何を質問されても鼻息だけが聞こえていました。しかし、時代が変わって、力士も話が上手くなった面があるのかもしれませんが、実際にインタビューの受け答えを聞いていると、質問されたら、まずは「そうですね。」と答え、質問を受けて答えているという素振りだけはしっかりしていることが分かって頂けると思います。

そこで、設問に答える姿勢を示すため、設問をそのまま疑問文にしてみましょう。【乙】の場合を例にすると、「あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして、性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるためにどのような主張を行いますか。」となるでしょう。そして、この文章をそのまま答案の書き出しに使うと、「私が弁護士としてAの付添人に選任されたとして、性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるために同法が××の自由(憲法○条)に反し、違憲であると主張することが考えられる。」となるでしょう。設問に真正面から答える書き出しになっているはずです。この一文に迷いの要素はありません。端的に問題点を指摘しましょう。そして、続く文章において、問題となっている××の自由が憲法○条で保障される人権であることを論証します。

その他の注意事項を列挙します。まずは、きちんと主語を書いて下さい。民事裁判の場を想定した場合、当事者は原告、被告と呼ばれますが、刑事裁判の場を想定した場合、当事者は被告人、検察官になります。そして、被告人を弁護する者として弁護人が登場します。被告、検事、弁護士と書くと間違いです。当事者の書き方を間違った場合、考査委員が悪い印象を抱くのは当然でしょう(平成23年公法系第1問の「採点実感等に関する意見」を参照)。次に、主張、反論という言葉を適当に使ってはいけません。特に「反論」と書くべきところを、気の緩みからか「主張」と書いているものが目立ちます。答案の構成用紙に①Aの付添人→主張、②検察官→反論、③私見と書いて、注意喚起することも一つの方法です。さらに、「なお」書きがあれば、そこは注意しないといけません。わざわざなお書きにして、「論じなくていい。」、「論じる必要はない。」となっているのに、これを見落として論じている答案があります。問題文を読んで、「あの論点が出た。」と思ったら、設問がどうなっているかまで考えないのでしょうね。しかし、2時間という制限時間で、8ページで書き終えなければいけない論文式試験において、点にならない無駄なことを書いている余裕はないのです。

なお、上記の採点実感等に関する意見(今後は、これまでどおり、「採点実感」と略します。)には、「答案の書き方に関する一般的な注意」と題する項目が設けられています。そのようなことまで注意しなければいけない世の中になったのでしょう。法科大学院で法律実務を教えるのも重要ですが、もっと教えるべき重要なことがあると思います。ブログでも、段落を設けたら1文字分下げて書き始めるべきかもしれません。
関連記事

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://ogmomomanami.blog.fc2.com/tb.php/3213-d38c8979
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Appendix

アクセスカウンター

フリーエリア

Extra

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

最新記事

カテゴリ

検索フォーム

QRコード

QR

天気予報


-天気予報コム- -FC2-