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検察起案のツボ(3)

検察の起案では、白表紙を見て起訴状を起案することになると思います。殺人を素材にしているのに、いきなり窃盗が出てくることはないでしょう。したがって、白表紙を検討したら、大体は何の犯罪を検討すべきか分かるはずです。

ただ、実務家の視点から一番大事なことは、これから起訴する被疑者が犯人であるかどうかということです(犯人性の問題)。どんなに立派な法律論を展開し、刑罰法規を駆使しても、犯人性を誤れば話になりません。その意味で、どんな問題でも犯人性について検討すべきです。しかも、自白があるかどうかに関係なく、自白以外の証拠で犯人性を認定できるかどうか指摘する癖を身に付けることが重要です。

犯人性の問題をクリアーしたとして、生の事実を大局的に観察し、考えられる刑罰法規はすべて書き出します。窃盗とか、殺人とか条文を暗記していて当たり前の罪であっても、条文を書き出して、構成要件要素を充たしているか一個ずつ吟味します。以上のことは検察教官から指導されたことですが、今でもその教えを忠実に守り、告訴状を起案するときなどは条文を書き出しています。


例えば、これまで何度か登場しましたが、「甲が拳でAの頭部を数回、乙が拳でAの腹部を数回殴った。」という事案で、乙は逃走中であって、甲だけを起訴する場合であると仮定します。

「暴行を加えたる者が人を傷害するに至らなかったとき」(刑法208条)
「人の身体を傷害したる者」(同法204条)
「数人共同して刑法208条の罪を犯したる者」(暴力行為等処罰に関する法律1条)

他にも関連する条文があるかもしれませんが、以上の事案で窃盗を連想する人はいないはずです。しかし、暴力行為等処罰に関する法律の存在を知らなければ、単なる暴行の共同正犯にするかもしれません(刑法60条、208条)。もっとも、これは知識の問題であり、一回経験すれば分かるようになります。


そうは言っても、起訴状の公訴事実を正確に起案できるかどうかは別問題です。あまり自信はありませんが、これでいかがでしょうか。

「被告人は、乙と共同して、平成27年2月17日、岡山市北区内の路上において、A(当41年)に対し、被告人が拳で頭部を数回殴打し、乙が拳で腹部を数回殴打する暴行をそれぞれ加え、もって数人共同して暴行を加えたものである。」

今回は、「共謀」という文言を使わないのが条文に即した書き方であろうと思います。なぜなら、この場合は刑法60条を適用しないからです。

例えば、1件2名による事案(検察官に被疑者甲、乙の2名を1件の記録で送致する事案)であっても、被疑者を勾留する際は、各別の勾留状が発付されます。そして、別紙として、通常警察官が作成した被疑事実の要旨を添付しますが、その別紙を見ると、「被疑者甲は、同乙と共謀の上」となっているため、必ず「同」のところに抹消印が押されています。細かいことですが、いつになったら、「同」を書くのが誤りであることに気付くのかなと思っています。
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平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

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