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身代わり犯人と打ち明けられたら、どうするか。

弁護人が、弁護を担当している被疑者、被告人(仮に「甲」とします。)から、「私は身代わりです。でも、このまま罪を認めて刑務所に行きます。」旨打ち明けられたとき、弁護人はどう対処すべきでしょうか。先日、法科大学院の先生と雑談をしているとき、この質問が飛んできました。

刑務所に行くという覚悟をしているのであれば、わざわざ身代わりである旨打ち明ける必要がないと思うのですが、民事事件を担当していても、このパターンは多いです。

まず、甲が言っていることが本当かどうか怪しい点に注意する必要があります。必ず、事実認定は物、その他の客観的な証拠、事件に利害関係のない第三者の供述、被害者の供述、被疑者(被告人)の供述の順で吟味して行わなければいけません。したがって、甲が、例えば、乙の名前を出して、「自分はの身代わりです。」と言ったからといって、捜査機関にそのまま乙の名前を伝えていいかは大いに疑問です。

私が弁護人であれば、捜査段階の場合は入手できる証拠に限りがありますが、公判段階になっていたら、開示された証拠を検討した上で、とりあえずアリバイの主張をしてみると思います。なお、当初から、被疑者が事実を否認している場合には、いきなり公判になってアリバイの主張を始めると、その主張が遅すぎるとしてアリバイが信用できない根拠にされることがあります。アリバイの主張をするにあたっては、基本的に証拠は全部不同意とし、裁判所、検察官に何かあると伝え(本来ならば、真犯人が事件が起こしたこと自体は間違いないでしょうから、事件の発生に関する証拠は同意しても構わないかもしれませんが、あえて不同意にします。)、裁判所に期日間整理期日を入れてもらうほか、検察官には、被告人が使用していた携帯電話の通話履歴等に関する証拠等を開示してもらいます。

最終的に、甲が身代わり犯人であることが判明すれば、検察官は、甲を犯人隠避で再逮捕して、本件については公訴を取り消したり、無罪の論告をしたり、論告を放棄することになるはずです。


例えばの話をさせてもらいます。

やくざの親分が、自分の付き合っていた女性に暴行を加えて死亡させたとします。その身代わり犯になるよう配下の組員に命じ、自分は単なる傷害で罰金に処せられ、それが確定しました。ところが、傷害致死で起訴された配下の組員が、親分が面倒見が悪いことから、親分の身代わりであると言い出した場合、これは厄介な公判になるはずです。親分は一事不再理の原則から傷害致死で起訴できませんので、女性が死亡したことについて責任を問われる者がいない異常事態になるのです。

もっとも、事件の筋としては、配下の組員が、親分が付き合っている女性に暴行を加えることがあるのかといった疑問が残り、その疑問を解消しておく必要がありました。
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平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

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