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否認から自白に転じる場合の注意点(続)

被告人が説明した否認から自白に転じる理由が納得できない場合、弁護人はどうすべきか。

弁護人としては、被告人に対して、否認から自白に転じる理由が納得できないことを説く一方で、その旨の手紙も書いて、「証拠」を残すべきであると思います。それでも被告人が自白に転じると言い張る場合、弁護人は、ここで悩みを抱え込まないことが重要です。私であれば、申し訳ありませんが、裁判所、検察官にもお付き合い頂く方法を考えます。つまり、裁判所に進行に関する協議の場を設けて頂き、その場で、次回期日の冒頭に、被告人に対する罪状認否をやり直してほしい旨申し入れます。

そして、罪状認否をやり直したところ、被告人が「間違いありません。」と答えても、弁護人としては認否を留保します。条文は、「被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。」(刑事訴訟法291条3項)となっているにすぎず、弁護人は被告事件について陳述しなければならないとはなっていないのです。なお、裁判所、検察官には、被告人の認否にかかわらず、弁護人は認否を留保する旨事前に知らせておきます。その上で、直ちに被告人質問をさせてもらって、否認から自白に転じた理由を確認すべきです。弁護人からの上記の手紙が届いて内容を確認したか、本当に間違いないということでいいのか、どうして否認していたのか、どうして自白する気になったのか、刑務所に行く覚悟はしているのか等を確認していきます。

以上の経過をたどって、仮に否認から自白に至った理由について納得がいく説明がなされたと判断できた場合、それまでは検察官が請求した証拠を不同意にしているはずですから、これを撤回して同意します。仮に、同意した証拠が取り調べられた後、被告人が翻意して否認に転じたとしても、どうしようもありません。

弁護人をしていて困るのは、被告人質問の答えが否認にも解釈できるような曖昧な場合です。これについて、私が傍聴していた事件で、弁護人の配慮が足りないと思ったことがあります。つまり、検察官の論告を聴いていると、被告人が事実関係を争っていることを前提にした構成になっているのに、弁護人の弁論を聴くと、事実関係については争いはないものとし、情状だけ触れている場合がありました。弁護人から、検察官に連絡をしておくのが礼儀ではないでしょうか。


それから、捜査段階で否認していたのに、初回期日で自白に転じる場合があります。例えば、殺人未遂で逮捕勾留され、「酒に酔っていたので憶えていない。」と弁解していたのに、傷害で起訴された途端、「間違いありません。」と言う人間は今一つ信用できません。そこで、悩んだ結果、被告人には「間違いないと思います。」と言うように指導し、弁護人の意見としては「検察官から開示された証拠を検討した結果、事実関係は争わないことにします。」と述べたことがあります。通常の事件とは異なる、弁護人の意見陳述に敏感に反応してくれる裁判官であれば、非常にスムーズに物事が運ぶものです。
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平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

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