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現住建造物放火等?

模擬(?)裁判で、検察官役の者(以下「検察官」と言います。)が、冒頭陳述要旨という書類の中で、被告人の前科について「現住建造物放火等」と書いていたとします。なお、弁護人は、事前に証拠の開示を受け、前科調書にも目を通していました。

この段階で、検察官は、明らかなミスをしています。それはさておき、検察官の記した表現を変えないで議論を進めると、被告人には、現住建造物放火と他の罪(あくまでも「等」ですから、それだけではいくつの罪かは分かりません。)で有罪となった前科があるということが理解できます。

そこで検察官のミスについてですが、現住建造物放火と書く必要があったようです(刑法108条)。この点は、司法試験の答案練習会でも見落としている答案が多数ありましたから、注意が必要です。しかし、本件の場合、その書き方ですと、現住建造物放火となって、「等」が重なる結果、日本語の表記として座りが悪くなりますから、後半の「等」の中身を明らかにする方がいいと思います。ただし、その程度のミスであれば、弁護人は知らない振りをしたはずです。

ところが、今回は弁護人がメモした内容と異なり、検察官が看過できないミスをしていると思えたので、「検察官、放火のところを確認してもらえませんか。」と助け舟を出しました。それでも、検察官が「現住建造物放火等で、懲役○年○月になっています。」と答えたので、この検察官は「等」が必要なことを知らないのだと確信しました。そして、被告人質問をする際、証拠として採用された前科調書を示して、その内容を確認した上、「被告人、貴方には非現住建造物等放火と○○で、懲役○年○月になった前科があるが、憶えていますか。」と質問したところで、やっと検察官がミスに気付いてくれました。前科調書だけでは、1項か2項かの区別まで判断はできませんが、現住建造物放火(刑法109条)なのですね。現住建造物等放火と別の罪で懲役○年○月は軽いので、その点からも検察官はミスに気付く余地はあったはずです。また、重大犯罪の前科がある場合は、相当以前のものであっても、検察官は判決謄本を証拠請求すべきであると思います(弁護人の中には、今回審理を受けている事件との関連性がないと主張する者がいるかもしれませんが、判決を言い渡す裁判所は興味があると思います。)。


検察官が、弁護人一般を快く思っていないことは分かります。私はそうでした。ただ、証拠分けが遅い旨言われたとき、この弁護人は何者だと思う動物的直感が必要ではないでしょうか。もしかしたら、弁護人が極めてまともな公判活動をする人間と分かって、弁護人の助け舟に素直に乗ることができたかもしれません。また、開廷前に、弁護人に冒頭陳述要旨を渡してくれていたら、さりげなく検察官に間違いを指摘することができたと思っています。

それにしても、裁判官役の人が旧知の間柄の方で、非常にやりにくい法廷でした。さらに、今日は天気予報通り、真夏を思わせる暑さでしたね。



話は変わりますが、先日、受任して間なしであったため証拠分けができていないことを承知の上で、「前科調書だけ閲覧させてもらえないか。」と頼んでみたら、きちんと証拠分けができていました。本来は、こうありたいものです。どのような事件でも、通常、被告人の身上経歴等を録取した警察官調書、(被告人に前科があれば)前科調書は証拠請求されますから、迷うことなく開示に応じてもらえるはずですし、弁護人も、それらの内容を確認できたら、判決は予想できるので目的を達することができます。
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平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

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