Entries

脱税事件について

脱税したことが国税当局に露見すると、正しい税金を納付するよう求められるだけでなく、納付が遅れたことに伴う税金等まで請求されます。さらに、その態様、脱税額等を勘案し、国税当局が検察庁と協議を行い、告発しますと、検察官が刑事事件として捜査に着手します。

ところが、すべての検察官が、税金の仕組みについて正確に理解しているとは言えません。少なくとも私は理解していませんでした。そのため、検察官になって数年経過すると、脱税事件に関する研修が用意されています。そして、脱税事件だけを審理する専門部がある裁判所は限られていますので、公判立会をしている裁判所に一般の事件に紛れて脱税事件が係属することがあります。脱税事件も事実を認めてくれたらシャンシャンと終わるのですが、一部でも争い始めると、公判が長引きます。知識に乏しい検察官は、国税当局の見解を参考にしながら、何とか凌ぐのですが、脱税事件は「報告事件」に指定され、公判毎に内容や今後の見通しを報告することが求められていました。仮に、脱税額が少なくなるような訴因変更をする場合(起訴するときは証拠は十分と判断したはずです。)は上司を説得するのが大変でしたし、判決で公訴事実と異なり、脱税額が減額されようものなら、即、問題判決ということにつながります。なお、脱税に関する刑事裁判は、被告人に刑罰を科すかどうかを判断するために行われますが、懲役刑のほかに、脱税が割りに合わない犯罪であることを思い知らせる意味で、罰金刑を併科されることがあります。罰金刑が執行猶予になることは、まずないと言えますので、懐に厳しいものとなります。罰金を完納できなければ、労役場に留置されます。

先日のいわゆる外れ馬券事件ですが、検察官は国税当局と十分な打ち合わせをし、理論武装していたはずです。しかし、裁判所は、検察官の意見を採用しませんでした。その結果、検察官の懲役1年の求刑に対し、懲役2月・2年間執行猶予という判決を言い渡しました。公判に立ち会っていた検察官は、あの裁判所であれば判決内容を予想し、上司に報告して(週報に掲載して)いたかもしれません。いずれにせよ、検察庁としては、このまま判決を確定させるわけにはいきませんから、当然、検察官控訴することになります。

私は、「検察官控訴」という言葉を聞く度に、控訴趣意書を起案する検察官は大変だろうなと思います。今年の夏は控訴趣意書の起案に没頭することになるのではないでしょうか。



「報告事件」について補足
納税は国民の義務です(憲法30条)。したがって、脱税はその義務違反にあたり、その上、国税当局が告発する案件は特に悪質な事案ですから、告発を受けた検察官は迅速に捜査に着手して処理することが求められることはもちろんで、裁判でも公訴事実通りの認定がなされて当たり前で、毎回、上司に公判の経過等を報告しなければいけない事件に指定されていました。なお、裁判官の評価も、通常の事件に比べ、脱税事件を終わらせた場合の方が高くなっていたはずです(同じ1件の処理でも、重要性が違うということ。)。

関連記事

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://ogmomomanami.blog.fc2.com/tb.php/2146-a983a2eb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Appendix

カテゴリ

Extra

プロフィール

オグちゃん

Author:オグちゃん
平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

しかし、ブログから新しい出会いが生まれ、有難いものであるということも知りました。

最新記事

検索フォーム

アクセスカウンター

フリーエリア

QRコード

QR

天気予報


-天気予報コム- -FC2-