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答案用紙の表紙の書き方について

司法試験の受験生のレベルが下がっており、それを如実に表しているのが論文式試験における答案用紙の書き方です。

正式な答案用紙がどういうものかについては、法務省のホームページで司法試験のところにアクセスすれば、これを確認することができます。そして、法務省は、司法試験を「平成××年」という書き方で表現していることが分かります。

しかし、司法試験の受験予備校の中には、答案練習会の名称に西暦を用いているところがあります。この場合は、西暦を用いた書き方が「正式名称」になるのですから、受験生はこれに逆らうことが許されません。そして、受験予備校は、自分が主催する答案練習会をより身近なものとするため、略称を用いて宣伝します。もしかすると、受講している答案練習会の正式名称を書かず、略称で済ませていませんか。最初に答案用紙の必要事項を書かず、いきなり問題文を読んで、答案の中身を書こうとするので、最後は答案用紙の表紙を書く時間的余裕がないのかもしれません。

次に、受験予備校によって、答案用紙に書くべき必要事項は多少の違いがあると思いますが、答案を作成した年月日は必須となっていいるはずです。その答案を作成した年月日について、どう書くべきか考える必要があると思います。前記のとおり、答案練習会の名称については西暦を用いておきながら、答案を作成した年月日に年号を用いた書き方をした場合(平成28年×月×日)、全体として調和がとれているでしょうか。ましてや、答案練習会の名称について西暦を用いておきながら、答案を作成した年月日について、単に「28年×月×日」と書いている答案は論外であると思うのです。これが何だかおかしいぞと感じないのは問題です。

ところで、平成28年の司法試験の合格者を発表している法務省のホームページには、法科大学院別の合格者数等を記載した表も掲載されています。合格者数がゼロであったり、1人であった法科大学院は遅かれ早かれ消えます。合格実績を見ると、有望な学生はそのような法科大学院に入学しようとは思わないでしょうし、学生を受け入れる側の教員もやる気がでないでしょう。先日、箱根駅伝の予選会で連続出場の記録が途絶えた大学と同じで、余程のことがなければ復活はありえません。申し訳ないですが、廃校になるような法科大学院を設立したこと自体が問題でした。

では、そのような司法試験の合格実績が悪い法科大学院の受験生は、どうしたら司法試験に合格するのでしょうか。

出来が悪いということを自覚して、人一倍汗を流し、指摘された欠点を一個ずつ改めていく気概がないとダメでしょう。「権利を主張する前に義務を履行せよ。」です。毎年1500人の合格者が出ると仮定したら、司法試験を5回受験する頃には上位6000人が抜けている、そうなれば自分の順番が回ってくるだろうという甘い発想は通じないのです。

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公法系第1問(憲法)の解き方について(1)

【甲】
そこで,Xは,A市が助成の要件として本件誓約書を提出させることは,自らの方針に沿わない見解を表明させるものであり,また,助成が受けられなくなる結果を招き,Xの活動を著しく困難にさせるため,いずれも憲法上問題があるとして,訴訟を提起しようとしている。
〔設問〕
Xの立場からの憲法上の主張とこれに対して想定される反論との対立点を明確にしつつ,あなた自身の見解を述べなさい。なお,条例と要綱の関係及び訴訟形態の問題については論じなくてよい。

【乙】
〔設問1〕
あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして,性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるためにどのような主張を行うかを述べなさい。(中略)なお,同法が憲法第31条及び第39条に違反するとの主張については,他の付添人が起案を担当しているため,論じる必要はない。
〔設問2〕
〔設問1〕で述べられたAの付添人の主張に対する検察官の反論を想定しつつ,憲法上の問題点について,あなた自身の見解を述べなさい。

憲法の答案の書き方について検討したいと思います。上記【甲】は平成28年司法試験予備試験憲法の問題の一部分、同【乙】は同年司法試験公法系第1問、つまり、憲法の設問部分です。両者を比べて分かるのは、問題のスタイルが同じであるということです。つまり、(ある人物からの)憲法上の主張、それに対して想定される(反対当事者からの)反論、私見が問われているということです。そこで、注意すべき点を列挙します。

まず、憲法上の主張が問われているのですから、その主張の中に憲法の条文が引用されていることが必要となります。【甲】はある訴訟を想定し、【乙】は性犯罪者継続監視法という架空の法律が憲法に反するかどうかを検討するのですが、特に【甲】の場合は、Xが訴訟において勝訴するかどうかが問われているのではありません。あくまでも、提起する訴訟において、Xがどのような憲法上の主張をするかが問われているのです。したがって、この問いに対して、素直に、かつ簡潔に答える必要があります。これが問いに答えるということです。

次に、話が飛躍して恐縮ですが、最近の力士はインタビューに答えるのが上手くなったように思います。昔、取組直後のヒーローインタビューでは、元々息が上がった状態ですから、口下手な力士は何を質問されても鼻息だけが聞こえていました。しかし、時代が変わって、力士も話が上手くなった面があるのかもしれませんが、実際にインタビューの受け答えを聞いていると、質問されたら、まずは「そうですね。」と答え、質問を受けて答えているという素振りだけはしっかりしていることが分かって頂けると思います。

そこで、設問に答える姿勢を示すため、設問をそのまま疑問文にしてみましょう。【乙】の場合を例にすると、「あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして、性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるためにどのような主張を行いますか。」となるでしょう。そして、この文章をそのまま答案の書き出しに使うと、「私が弁護士としてAの付添人に選任されたとして、性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるために同法が××の自由(憲法○条)に反し、違憲であると主張することが考えられる。」となるでしょう。設問に真正面から答える書き出しになっているはずです。この一文に迷いの要素はありません。端的に問題点を指摘しましょう。そして、続く文章において、問題となっている××の自由が憲法○条で保障される人権であることを論証します。

その他の注意事項を列挙します。まずは、きちんと主語を書いて下さい。民事裁判の場を想定した場合、当事者は原告、被告と呼ばれますが、刑事裁判の場を想定した場合、当事者は被告人、検察官になります。そして、被告人を弁護する者として弁護人が登場します。被告、検事、弁護士と書くと間違いです。当事者の書き方を間違った場合、考査委員が悪い印象を抱くのは当然でしょう(平成23年公法系第1問の「採点実感等に関する意見」を参照)。次に、主張、反論という言葉を適当に使ってはいけません。特に「反論」と書くべきところを、気の緩みからか「主張」と書いているものが目立ちます。答案の構成用紙に①Aの付添人→主張、②検察官→反論、③私見と書いて、注意喚起することも一つの方法です。さらに、「なお」書きがあれば、そこは注意しないといけません。わざわざなお書きにして、「論じなくていい。」、「論じる必要はない。」となっているのに、これを見落として論じている答案があります。問題文を読んで、「あの論点が出た。」と思ったら、設問がどうなっているかまで考えないのでしょうね。しかし、2時間という制限時間で、8ページで書き終えなければいけない論文式試験において、点にならない無駄なことを書いている余裕はないのです。

なお、上記の採点実感等に関する意見(今後は、これまでどおり、「採点実感」と略します。)には、「答案の書き方に関する一般的な注意」と題する項目が設けられています。そのようなことまで注意しなければいけない世の中になったのでしょう。法科大学院で法律実務を教えるのも重要ですが、もっと教えるべき重要なことがあると思います。ブログでも、段落を設けたら1文字分下げて書き始めるべきかもしれません。

公法系第1問(憲法)の解き方について(2)

設問に対して、「素直に、かつ簡潔に答える。」という意味で、私が引き合いに出すのが昭和61年に実施された司法試験憲法の第1問です。

【基本的人権の保障の限界に関しては、憲法第12条、第13条などにいう「公共の福祉」との関係において説が分かれているが、その相違を論拠とともに説明し、それと関連づけながら、海外旅行の自由の制約について、集会の自由の場合と比較して、説明せよ。】

この問題が出題された昭和61年当時は、いかにして司法試験の合格者の年齢を下げ、若い人(つまり、優秀な人?)の合格者数を増やすかが急務とされていました。その方策として、司法試験の受験回数に制限を設けるとか、若い人のために優先枠を設けるといった議論があったと記憶しています。私は、司法試験に若くして合格した人が優秀であることは認めますが、人間的にまともであるとは限りませんから、いろんな人を相手にする法曹には歳は関係ないと思っていました。少なくとも自分が受験生の間は、現状の試験であってほしいと願っていました。択一式試験が75問から60問に減って、連結問題、虫食い問題といった一癖ある問題が登場し、択一式試験を突破した人には、上記の憲法の問題が待ちかまえていたのです。

私は、この年に合格した人がいわゆる対比型問題に関する解き方を講演すると耳にし、その講演に顔を出しました。その講演で聴き取った内容は清書し、ルーズリーフ形式の憲法のノートの冒頭に挟んで、何度も見直しましたが、残念ながらそのノートが見当たりませんでした。ただ、設問に対して、素直に、かつ簡潔に答え、最後は「論筋を通す」ということを強調されていました。

どんなに訳が分からない問題が出題されようと、一定の合格者は出るのです。今年の受験生は例年に比べると出来が悪いようであるから、今年は合格者はなしにすると言われたら、天と地がひっくり返るような大騒ぎになるでしょうが、そんなことは起きません。受験生の数が減っていても、司法試験の合格者数が1000人を切る時代はすぐにはやってこないと思います。考え方を変えれば、やたらに難しい問題が出題された方が、皆の出来が悪くて差が付かないので、出来が悪い受験生にとっては好機到来かもしれません。論文式試験の採点対象となった中で、上位5分の1程度に入る答案を目指そうと思えば、何とかなりそうが気がするはずです。

ところで、昭和61年の憲法第2問は次のようなものでした。
【裁判所の自律性について、議院の自律性と対比して論ぜよ。】

本試験の影響もあってか、受験予備校が答案練習会でやたらに対比型の問題を出題し、「本当に対比できるのかな?」と思った時期でした。

公法系第1問(憲法)の解き方について(3)

【丙】
C社は,A市を被告として,本条例が違憲であると主張して,国家賠償請求訴訟を提起した。

〔設問1〕
あなたがC社の訴訟代理人であるとしたら,どのような憲法上の主張を行うか。なお,本条例による会費の算出方法の当否及び営業停止処分の日数の相当性については,論じなくてよい。
〔設問2〕
想定される被告側の反論を簡潔に述べた上で,あなた自身の見解を述べなさい。


【丙】は平成26年司法試験予備試験の憲法の問題の一部です。国家賠償請求訴訟という場において、どのような憲法上の主張を行うかが問われています。憲法上の主張を行うのは、C社の訴訟代理人としてのあなたです。訴訟代理人と代理人は違います。問題文で使われている表現を勝手に変えるのは厳禁です。

そこで、(想定される?厳密には、この表現は被告の反論の部分で使うべきです。)悪い論述例を示します。
「C社は、本件条例が憲法○条に反するから、国家賠償請求法上違法であると主張する。」

①前述したとおり、C社が主張するのではありません。C社の訴訟代理人(であるあなた)が、C社の憲法上保障されている権利が不当に制約されているから違憲であると主張するのです。②次に、細かなことですが、この問題では違憲の疑いがあるA市の条例について、「本条例」というとの断り書きがなされていました。それにもかかわらず、勝手に本件条例と書くのは誤りです。細かなことですが、問題文に逆らってはいけません。③さらに、国家賠償法上違法かどうかが問われているのではありません。何度も書きますが、「どのような憲法上の主張を行うか。」との設問に対して、素直に、かつ簡潔に答える必要があります。そして、法律の正式名称は国家賠償法です。


では、書き出しの文章はどうあるべきでしょうか。
「私がC社の訴訟代理人であるとしたら、国家賠償法上の違法を基礎づけるため、A市の本条例によって、C社の××の自由(憲法○条)が不当に制約されているので違憲であるとの主張を行うことが考えられる。」

司法試験の問題となる「××の自由」が憲法の条文でストレートに保障されていることは稀です。したがって、書き出しの文章に続けて、問題となる「××の自由」が引用した憲法の条文で保障されていることの論証をする必要があります。


ところで、「採点実感等に関する意見」(以下「採点実感」という。)を読むと、紋切り型の答案はいけない旨書いています。しかし、制限時間内に、自分の頭でそれらしい表現を思いつくことができますか。人権に関する問題を処理するパターンを身につけることは何も悪いことではないのです。ただし、問題の特殊性は考えてほしいところです。

また、「当てはめ」という言葉を嫌う考査委員がいるのも事実です(平成26年司法試験公法系の採点実感から抜粋:毎年のように採点実感で指摘しているためか,判断枠組みを前提として事案を検討する際に,「当てはめ」という言葉を使用する答案は,少なくなってはいるが,なお散見される。また,「当てはめ」という言葉を使って機械的な「当てはめ」を行う答案の問題性が際立つ。これも毎年のように指摘しているためか,行頭・行末を不必要に空けて書く答案は,少なくなってきてはいる。しかし,他方で,1行の行頭及び行末の各3分の1には何も書かず,行の真ん中部分の3分の1の部分だけに書いている答案などがなお存在する。)。考査委員が「当てはめ」という言葉を嫌っているということは、それに類似する言葉(項目立て)も嫌っていると考えるのが筋でしょう。これ以上は書きません。

まずは過去問を検討し、出題の趣旨を読み、さらに採点実感を読みましょう。採点実感を読んでおきながら、本試験であえて考査委員の気持ちを逆なでするような答案の書き方をするというのであれば、良い根性をしています。我が道を進んで頂いて構いません。

ところで、【主張→反論→私見】のパターンを踏みますが、問題とすべき点が2つあって、各主張、反論、私見を書くのに1ページを費やしていたら、どうなるでしょうか。今回は予備試験の問題を題材にしましたが、予備試験の論文式試験の答案用紙は表裏4ページになっています。したがって、書ききれないことも考えられます。ここで、考え方を切り替える必要があります。そういう問題に遭遇したら、受験生の上位5分の1に入るくらいの答案を書けば合格すると言い聞かせ、他の受験生が何を書くか考えましょう。論文式試験では、答案用紙に書いた内容だけが採点の対象になります。かといって、答案用紙に目一杯書かれている答案が出たら、考査委員はこれを読んでいてうんざりするはずです。

それから、句読点の区別ができていないものや(そのくせ、やたらに「. 」を打っている。)、1つの文章が終わるごとに改行して段落を設けているものがいるとすれば(あくまでも仮定の話です。)、日本語の文章作法が分かっていないと判断される危険があります。小学生レベルの問題です。否、小学生の方がきちんとしているかもしれません。なお、後者については、平成22年司法試験公法系第2問で改めるように注意されています。法科大学院で教鞭をとっている先生方、こんなことをと思わずに、きちんと指導してやって下さい。

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「採点実感等に関する意見」から抜粋(1)

平成20年の司法試験から、論文式試験の答案を採点した試験委員が感想を述べたものが、法務省のホームページにおいて「採点実感等に関する意見」(以下「採点実感」という。)として公開されています。その中から、答案を書く上での一般的な注意事項として、私が気に入っている部分を抜粋しました。昔は、司法試験の問題用紙を持ち帰ることさえ禁止されていたのに、時代が変わって、答案を採点した感想まで公開してくれる時代になりました(後記のとおり、そこには「受験生へメッセージを送る」というコンセプトがあるらしいです。)。もっとも、受験生が公開された採点実感に目を通しているかは別問題で、それがとても残念に思われます。ブログの都合上、レイアウトに気を配っていないことを了解して下さい。なお、赤文字の部分が、個人的に重要であると思うところです。以下、このルールを通していきます。


【平成20年公法系科目第1問から抜粋】
(3) 資料の活用
ア 与えられた資料を精読せず,具体的な事案に即したきめ細かい対応がなされていない。例えば,資料で示された本問に特有の具体的な事情について全く触れていない答案が目立った。解答する上で,資料の活用は必須である。
イ 資料の活用とは,資料に書かれていることを「書き写す」ことではない。ただ漫然と「書き写す」だけの答案は,不適切であり,不十分である。資料のどこの部分をどのように評価したのか,あるいは評価しなかったのか,きちんと説明されていなければならない。

【同科目第2問から抜粋】
2 採点方針
・ 救済手段の選択については,評論家風な解答ではなく,「自己の見解」が示されているか否かを採点に当たって重視することとした。
・ 答案の構成が優れていたり,文章表現が優れ論理性の高い答案など,特に優れている答案には,とりわけ高い評価を与えることとした。
・ 条文の引用が正確にされているか否かも採点に当たって考慮することとした。


【平成22年公法系科目第2問から抜粋】
(4) 設問に答えていない答案について
・ 問題文をきちんと読まず,設問に答えていない答案が多い。
・ 問題文の設定に対応した解答の筋書を立てることが,多くの答案では,なおできていない。
(5) 字が乱雑で判読不能な答案について
・ 字が汚い答案(字を崩す)が多い。時間がないことも十分に理解できるが,かい書で読みやすく書かれている答案も多く,合理的な理由とはならないであろう。例えば,「適法」「違法」のいずれかであることまでは判別できるが,それ以上判別する手掛かりがなく,一番肝心な最終結論が分からないという答案も散見された。
・ 字を判読できない答案には閉口した。字の上手下手があるのは当然であるが,そうではなく,読まれることを前提としないかのような殴り書きの答案が相当数あった。時間が足りなくなって分かっていることを全て記載したいという気持ちは理解できるが,自分の考えを相手に理解させるのが法曹にとって必須の要素と思われ,その資質に疑問を感じざるを得ないように思った。
(6) 答案における文章表現について
・ 一文一段落という,実質的に箇条書に等しい書き方をする等,小論文の文章としての体裁をなしていない例が少なくない。
・ 「この点」を濫発する答案が少なからずあったが,「この」が何を指示しているのが不明な場合が多く,日本語の文章としても,極めて不自然なものとなっている。

【同年民事系科目第3問から抜粋】
5 その他
 毎年のように指摘していることであるが,答案は,読み手が理解できて初めて評価されるものである。受験生は,答案の読み手の立場に立って,分かりやすく記載することを肝に銘じることが必要であり,文脈から記載内容を推測することを読み手に期待することは許されない。字の巧拙は別として,「蓋し」,「思うに」など一般に使われていない用語や略字,容易に判読できない悪字,筆圧が弱く薄すぎる字などが散見される点については,大いなる反省を求めたい。


【平成23年公法系科目第1問から抜粋】
答案の書き方に関する一般的な注意
・ 常に多くの文字数分も行頭を空けていて(さらには行末も空けている答案もある。),1行全てを使っていない答案が,多く見受けられた。答案は,レジュメでもレポートでもない。法科大学院の授業で,判決原文を読んでいるはずである。それと同様に,答案も,1行の行頭から行末まできちんと書く。行頭を空けるのは改行した場合だけであり,その場合でも空けるのは1文字分だけである。
・ 採点者は一生懸命読み取るように努力をしているが,悪筆や癖字,さらには,字が細かったり薄かったりして,非常に読みにくい答案が少なくない。もちろん,達筆でなければならない,ということではない。しかし,平素から,答案は読まれるために書くものという意識を持って,書く練習をしてほしい。

【同年民事系科目第3問から抜粋】
5 その他
 試験の答案は,人に読んでもらうためのものである。読み手に読んでもらえなければ何を書いても意味がない,という当たり前のことを改めて強調しておきたい。毎年のように内容以前の問題として指摘していることであるが,極端に小さな字や薄い字,書き殴った字の答案が相変わらず少なくない。もとより字の巧拙を問うものではないが,読み手の立場に立って読みやすい答案を作成することは,受験者として最低限の務めである。読み手に理解されなければ何を書いても評価されないことを肝に銘ずべきである。平成22年の「採点実感等に関する意見」で注意を喚起した結果,一般に使われていない「蓋し」や「思うに」を使用する答案が減少したことは評価したい。しかし,「この点,」という言葉を「この」が何を指すのか不明確なまま接続詞のように多用する答案など,不適切な表現を使用する答案はなお多く見られるので,引き続き改善を求めたい。
 問題文を無意味に引き写している答案も少なくないが,これは,時間と答案用紙の無駄遣いである。
 なお,採点実感からすると,合格者の答案であっても「一応の水準」にとどまるものが多いのではないかと考えられる。当然のことであるが,合格したからといってよくできたと早合点することなく,学習を継続する必要がある。

【同年刑事系科目第1問から抜粋】
(4) 丙の罪責について
 ここでも,第1場面において,丙が甲の胸付近を強く押した行為に正当防衛が成立するか否かについて,冗長に論ずる答案などが見られた。前述したように,全体の答案構成を見据えて,適切に濃淡を付けた答案作成を心掛けるべきであろう。
 また,法律用語の使い方の問題として,丙が最終的に不可罰であることについて,「無罪」と表現する答案が少なからず見受けられた。「無罪」は公訴提起された事件について判決で言い渡されるものであり(刑事訴訟法第336条),刑事訴訟法の正確な理解が求められる。
(5) その他
 少数ではあるが,字が乱雑なために判読するのが著しく困難な答案があった。時間の余裕がないことは理解できるものの,採点者に読まれることを念頭に,なるべく読みやすい字で丁寧に答案を書くことが望まれる。

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「採点実感等に関する意見」から抜粋(2)

平成25年以降の「採点実感等に関する意見」(いつものとおり、「採点実感」といいます。)から、気になる部分の抜粋です。

【平成25年公法系科目第1問から抜粋】
(1) 問題の読み取りの不十分さ
 問題文をきちんと読めていない答案が,散見された。例えば,設問自体に「条文の漠然性及び過度の広汎性の問題は論じなくてよい。」と記載されているにもかかわらず,「平穏な生活環境を害する行為,商業活動に支障を来す行為という規定は,抽象的で広すぎるから違憲である」などと述べる答案,あるいは,拡声器の不使用・ビラの不配布・ゴミの不投棄というA側の自主規律を,B県公安委員会の付した条件と誤読した答案などが見られた。問題文の内容を正確に読み取ることは,まずもって,解答者にとって必須の能力というべきであろう。
(中略)
 また,原告側の主張を十分に論じていないものや原告の主張内容が極端な答案,真に対立軸となるような反論のポイントを示していない答案,原告側の主張と反論という双方の議論を受けて「あなた自身の見解」を十分に展開していない答案が少なくなく,これまでの採点実感をきちんと読んでいないのではないかと思われた。ただし,「あなた自身の見解」において,原告あるいは被告と「同じ意見」といった記述は,なくなってはいないが,従前に比べると少なくなったこと,そしてB県側の「反論」について,従前に比べてポイントのみを簡潔に論じる答案が多くなってきていることは,喜ばしいことである。
 なお,取り分け原告側の主張において「正当化」という見出しを付けて記述することは,適切ではない。原告側が行うのは,「違憲の主張」である。
(7) 答案の書き方等
 毎年のように採点実感で指摘しているためか,判断枠組みを前提として事案を検討する際に,「当てはめ」という言葉を使用する答案は少なくなっている。他方で,「当てはめ」という言葉を使って機械的な「当てはめ」を行う答案の問題性が,際立つ。また,これも度々指摘しているが,行頭・行末を不必要に空けて書く答案は,少なくなってきてはいるが,いまだに存在する。字が読みにくい答案ばかりでなく,漢字の間違いが多く見られたのは,残念なことである。緊張し,しかも時間に追われるので,字が乱雑になってしまいがちであることは十分に理解できるが,やはり丁寧な字で書くことは基本的なマナーである。受験者は,平素から,答案は読まれるために書くもの,という意識を持ってほしい。

【同科目第2問から抜粋】
(1) 全体的印象
・ 雑に書き殴った字,極端に小さい字,極端な癖字など,判読困難な答案が相変わらず多く,中には「適法」と書いたのか「違法」と書いたのかすら分からないものもあった。例年繰り返し指摘しているところであるが,受験者が答案作成をするに当たっては,もとより読み手を意識しなければならないのであり,この点,強く改善を求めたい。
・ 誤字が多いもの,必要以上にひらがな・カタカナを多用しているもの,主語と述語が呼応していないもの,表現が極端な口語調であるなど稚拙なもの,冗長で言いたいことが分かりづらいものなど,文書作成能力自体に疑問を抱かざるを得ない答案が相当数見られた。
・ 関係法令の規定に言及する場面で,単純な文理解釈を誤っている答案や,条文の引用が不正確な答案(項・号の記載に誤りがあるなど)が少なくなかった。また,関係しそうな条文を,よく考えずに単に羅列しただけの答案も散見された。このような答案は,条文解釈の姿勢を疑わせることになる。
・ 関係法令の規定を正確に読まないまま解答し,本来適用されるべき規範と全く関係のない議論をしている答案が散見された。法律実務家を目指す以上,適用される条文を正確に踏まえた議論をすることが必要である。
・ 問題文で丁寧に解答すべき課題を提示しているにもかかわらず,前提を誤解したり,設問の指示に従わない答案がかなり多く見られた。当然のことであるが,まずもって,設問をよく読み,正しく理解した上で答案を作成することが求められる。
 
【同年民事系科目第1問から抜粋】
 また,昨年試験の採点実感で指摘したような不自然な文章表現が依然として散見され,また,潰れてしまっていて判読ができない字で書かれている答案も見られる。
 外見的な印象を良くすることを過剰に気にかけるのではなく,判読可能な字で,平易な表現を用い,そして,何よりも,しっかり内容を備えた答案を作成した受験者を法律家の世界に迎え入れる,という趣旨で司法試験の採点がされている,ということをあらためて想起し,受験者においては,基礎的な知識や基本的な思考力の涵養に努めて欲しい。

【同科目第2問から抜粋】
2 採点方針
 答案の採点に当たって,上記①から③までの観点を重視していることも,従来と変わりがない。上記②と関連するが,問われていることに正面から答えていなければ,点数を付与していない。問われていることに正面から答えるためには,論点ごとにあらかじめ丸暗記した画一的な表現をそのまま答案用紙に書き出すのではなく,設問の検討の結果をきちんと順序立てて自分の言葉で表現する姿勢が大切であり,採点に当たっては,受験者がそのような意識を持っているかどうかにも留意している。
(中略)
5 その他
 時間不足と思われる答案は少なく,答案の分量としては5枚程度でも必要かつ十分な論述ができていた。考えながら書くのではなく,書き始める前に,答案構成に十分な時間をとることが大切であろう。また,毎年繰り返しているところではあるが,極端に小さな字(各行の幅の半分にも満たないサイズの字では小さすぎる。)や薄い字,潰れた字や書き殴った字の答案が相変わらず少なくなく,心当たりのある受験者は,相応の心掛けをしてほしい。

【同年刑事系科目第3問から抜粋】
 なお,昨年,容易に判読できない文字で記載された答案があり,採点に困難を来したことを指摘したが,残念ながら,本年においても,複数の考査委員から,ほとんど改善が見られないとの指摘があったことを付言する。

「採点実感等に関する意見」から抜粋(3)

それでは、平成26年の「採点実感等に関する意見」(以下、「採点実感」という。)からの抜粋です。これまでと同様、赤字は私がポイントと思うところです。

【平成26年公法系科目第1問から抜粋】
・ 本年の問題では,C社は「条例自体が・・・違憲であると主張して」訴訟を提起しており,内容的にも,適用違憲(処分違憲)を論じるべき事案ではないにもかかわらず,適用違憲(処分違憲)を論じている答案は,当該記載について積極的評価ができないのみならず,解答の前提を誤るなどしているという点においても厳しい評価となった。
・ 同様の観点であるが,本年の問題では,「法人の人権・・・については,論じなくてよい」,「道路運送法と本条例の関係については,論じなくてよい」と記載されており,それにもかかわらずこれらを論じている答案は,厳しい評価となった。
(中略)
・ 設問2について,【ある観点からの反論→それに対する受験者自身の見解→別の観点からの反論→それに対する受験者自身の見解→更に別の観点からの反論→それに対する受験者自身の見解・・・】という構成の答案が多かった。その結果,手厚く論じてもらいたい受験者自身の見解の論述が分断されてしまい,受験者自身が,この問題について,全体として,どのように理解し,どのような見解を持っているのかが非常に分かりづらかった。さらに,極端に言えば,「原告の△△という主張に対し,被告は××と反論する。しかし,私は,原告の△△という主張が正しいと考える」という程度の記載にとどまるものもあった。
・ 受験者自身の見解について厚く論述している答案は多くなかった。一方当事者の立場として原告の主張を記載するのに時間を費やすだけで,必ずしも多角的な視点からの検討にまで至っていないことは残念であった。

【同科目第2問から抜粋】
・ 相当程度読み進まないと何をテーマに論じているのか把握できない答案が相当数見られた。問題意識を読み手に的確に伝えるために,例えば,冒頭部分にこれから論じるテーマを提示するなどの工夫が望ましい。

【同年民事系科目第1問から抜粋】
 また,文章力に問題があるために,論述の内容について複数の読み方が可能であり,どちらの趣旨であるかが容易に判別することができない答案も存在した。当然のことながら,採点者は,答案の記載内容だけから評価をするのであり,趣旨が判然としない答案はそれを前提とした評価をせざるを得ず,善解することはできないのであるから,複数の解釈が可能となるような曖昧な表現は避けるよう留意すべきである。
 なお,答案の書き方における注意事項として,附番の用い方の問題がある。設問(3)では①・②・③……という数字を用いているのであるから,これと別に,所有権に基づく返還請求権の行使の要件は「①原告所有,②被告占有である」などという記述をすることは好ましくない。設問の中で用いられている①や②との区別がつかなくなる恐れがあり,論述の内容が不明瞭なものとなりかねないので,この点は特に注意を要する。

【同科目第2問から抜粋】
(5) 以上のような採点実感に照らすと,「優秀」,「良好」,「一応の水準」,「不良」の四つの水準の答案は,次のようなものと考えられる。第一に,「優秀」な答案は,主要な論点をほぼ論ずることができていて(主要な論点の一つや二つが欠けている程度は,差し支えない。),各問題につき,事実の当てはめを適切にした上で,相当な理由付けをして自らの考えを述べ,その考えに基づき論理的に整合性を持った法的議論を展開することのできている答案である。

【同科目第3問から抜粋】
 およそ何も書けていない答案は少なかったが,考えがまとまらないまま書き始めているのではないかと思われる答案も散見された。検討の必要があると考える論点を端的に摘示して問題提起をするのではなく,問題文にある設問自体を相当行にわたって書き写している答案,相互の関係性を明らかにしないで複数の論点を羅列する答案,設問に対する結論を示すに当たって,法的三段論法の過程を経ているとは評価できない答案がその例である。問題文をよく読み,必要な解答を頭の中で入念に構成した上で,答案を書き始めるべきであろう。
(中略)
5 その他
 毎年繰り返しているところではあるが,極端に小さな字(各行の幅の半分にも満たないサイズの字では小さすぎる。),文字色が薄い字,潰れた字や書き殴った字の答案が相変わらず少なくない。司法試験はもとより字の巧拙を問うものではないが,心当たりのある受験者は,相応の心掛けをしてほしい。また,「けだし」,「思うに」など,一般に使われていない用語を用いる答案も散見されたところであり,改めて改善を求めたい。

【同年選択科目国際関係法(私法系)から抜粋】
 なお,学説の分かれている論点については,結論それ自体によって得点に差を設けることはせず,自説の論拠を十分に示しつつ,これを論理的に展開することができているか否かを基準にして成績評価をした。

「採点実感等に関する意見」から抜粋(4)

平成27年から、「採点実感等に関する意見」は公法系科目、民事系科目等によって細分化されてホームページにアップロードされ、アクセスしやすくなりました。法務省も気を遣ってくれているようです。考査委員をして、「日本語の論述能力が劣っている答案が相当数見られ、近年では最低の水準」とまで言わしめた答案を書いた受験生は、恐らく判読できない字で書いていると思われます。試験に合格する可能性はほぼ皆無であるといえるでしょう。



【平成27年公法系科目第1問から抜粋】
・ 設問1⑵におけるA市の反論について,「区別・取扱いには合理的理由がある」とか「裁量の逸脱・濫用はない」という,いわば結論部分だけを記載し,その理由を明示できていない答案が相当数あった。しかし,いかに「ポイントを簡潔に述べ」るとしても,反論である以上,A市としてその結論につながる積極的・直接的・根本的な理由を簡潔かつ端的に明示する必要がある。
(中略)
⑴ 論述のバランス
・ 本年は,各問の配点を明記することで答案における記述量の配分の目安を示し,それに応じたバランスのよい記載で,かつ,最後までしっかりと書くことを求めたところである。しかし,例年のように,途中答案が相当数あったほか,一応最後まで書いている答案も,設問2について配点に相応しい分量になっていないものが多かった。また,設問1⑴について簡単な記述で済ませている答案や,逆に,設問1⑵について長々と論じている答案(そのような答案は,設問2の論述が非常に薄いものとなる傾向があった。)も見られた。
⑵ 問題文の読解及び答案の作成一般
・ B,C,Dらがそれぞれどのような立場の人間であるのかについて事実関係を混同・混乱している答案があった。また,その誤記等(BをXと記載したり,文章内容からはCを指していると思われる者をDと記載したりする例)も散見された。単なる書き間違いかもしれないが,判断の前提となる事実関係を的確に把握できていないのではないかと疑われかねないので,問題文に即して正確に論述してほしい。
(中略)
形式面
・ 普段手書きで文書を作成する機会が少ないためであろうか,誤字や脱字がかなり目に付いた。特に法律用語の誤記については,法律家としての資質自体が疑われかねないので注意してほしい。また,略字を使用する答案もあったが,他人に読ませる文章である以上,略字の使用は避けるべきである。
・ 解読が困難な字で書かれた答案も散見された。例えば,字が雑に書かれたり,小さかったりして読みづらいもの,加除や挿入がどのようになされているのか判読し難いものなどである。時間がなくて焦って書いているのは分からないではないが,他人に読ませる文章である以上,読み手のことを考えて,上手な字でなくても読みやすい,大きな字で,また,加除や挿入は明確に分かるような形での答案作成を望む。

【同科目第2問から抜粋】
(1) 全体的印象
・ 例年繰り返し指摘し,また強く改善を求め続けているところであるが,相変わらず判読困難な答案が多数あった。極端に小さい字,極端な癖字,雑に書き殴った字で書かれた答案が少なくなく,中には「適法」か「違法」か判読できないものすらあった。第三者が読むものである以上,読み手を意識した答案作成を心掛けることは当然であり,判読できない記載には意味がないことを肝に銘ずべきである。
・ 問題文及び会議録には,どのような視点で何を書くべきかが具体的に掲げられているにもかかわらず,問題文等の指示を無視するかのような答案が多く見られた。
・ 例年指摘しているが,条文の引用が不正確な答案が多く見られた。
・ 冗長で文意が分かりにくいものなど,法律論の組立てという以前に,一般的な文章構成能力自体に疑問を抱かざるを得ない答案が相当数あった。
・ 相当程度読み進まないと何をテーマに論じているのか把握できない答案が相当数見られた。答案構成をきちんと行った上,読み手に分かりやすい答案とするためには,例えば,適度に段落分けを行った上で,段落の行頭は1文字空けるなどの基本的な論文の書き方に従うことや,冒頭部分に見出しを付けるなどの工夫をすることが望まれる。
・ 少数ではあるが,どの設問に対する解答かが明示されていない答案が見られた。冒頭部分に「設問1」等と明示をした上で解答することを徹底されたい。
(中略)
・ 法律的な文章という以前に,日本語の論述能力が劣っている答案が相当数見られ,近年では最低の水準であるとの意見もあった。法律実務家である裁判官,検察官,弁護士のいずれも文章を書くことを基本とする仕事である。受験対策のための授業になってはならないとはいえ,法科大学院においても,論述能力を指導する必要があるのではないか。

【同年刑事系科目第2問から抜粋】
 また,問題文の読み間違いに起因するものと思われる誤った事実関係を前提に論述している答案が少なからず見受けられた。その背景には,とにかく知っている論点を探してそれに飛びつくというような答案作成姿勢が影響を及ぼしているのではないかが懸念された。
 なお,本年も,複数の考査委員から,容易に判読できない文字で記載された答案が相当数あったとの指摘があったことを付言する。

「採点実感等に関する意見」から抜粋(5+桜)

いよいよ平成28年司法試験の「採点実感等に関する意見」(以下「採点実感」という。)からの抜粋になります。平成29年の本試験まで約1か月ですが、法務省のホームページにアクセスして、これくらいは自分の目で確認すべきであると思います。いろんな論点を頭にたたき込もうとして焦るよりは、ずっと合格に近づくはずです。そして、判読できない字を書く人は、毎日少しの時間で構いませんから、字を書く練習をしましょう。


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【平成28年公法系科目第1問から抜粋】
・ また,明確性の原則を述べるものもあったが,問題文中で憲法第31条に関する論点を除外していることを踏まえると,例えば,行動の自由に対する萎縮的効果を論じる中で言及するなど,論じ方に工夫が必要であり,単に明確性の原則に反するから違憲無効であるとの記述では評価の対象とすることはできなかった。
(中略)
5 検察官の反論又は私見
・ 本年は,昨年と異なり,各設問の配点を明示しなかったが,設問1では付添人の主張を,設問2ではあなた自身の見解を,それぞれ問い,検察官の反論については,あなた自身の見解を述べる中で,これを「想定」すればよいこととした。したがって,検察官の反論については,仮に明示して論じるにしても簡にして要を得た記述にとどめ,あなた自身の見解が充実したものになることを期待したものである。この点では,本問は,従来の出題傾向と何ら変わらない。
・ ただ,その際,検察官の反論を明示する以上は,判断枠組みを定立するだけで終わるのでは不十分であるし,「目的は不可欠で,手段は最小限である」などと結論を記載するだけでも足りず,冗長にならないように留意しつつ,検察官としてその結論につながる積極的・直接的・根本的な理由(判断の骨組みとなる部分)まで端的に示す必要がある。他方,結論的に付添人の主張と同一の結論となるにしても,なぜ検察官の反論を採用できず,付添人の主張と同一の結論に至るのかについて説得的に論じなければ,検察官の反論を踏まえたものとはならないことに留意して欲しかった。

【同科目第2問から抜粋】
・ 昨年と同様,法律的な文章という以前に,日本語の論述能力が劣っている答案が相当数見られた。法律実務家である裁判官,検察官,弁護士のいずれも文章を書くことを基本とする仕事である。受験対策のための授業になってはならないとはいえ,法科大学院においても,論述能力を十分に指導する必要があるのではないか。

【同年民事系科目第2問から抜粋】
 なお,読みにくい文字であっても,可能な限り正確に文章を理解するように努めているが,それにもかかわらず,文末が肯定しているのか,否定しているのか判別することができず,あるいは「有効」と書いているのか,「無効」と書いているのか判別することができないような文章が,少数ではあるものの,見られる。そのような文章については,文章の趣旨が不明であるものと判断した上で,採点せざるを得ない。

【同科目第3問から抜粋】
 民事訴訟に関する基本的な概念や原理・原則についての理解を前提に論理的な思考をめぐらせることでそれまで自分では考えたことがないような問題についても自分なりに答えようとする姿勢が重要である。
 また,問題意識に答えるという観点からは必要とは言えない一般論を長々と展開する答案も見られた。このような答案は,解答の結論に至るのに必要とは言えない論述をあえてしているという点で本当に理解ができているのかにつき疑問を抱かせることにもなる上,記述作業自体に貴重な時間を取られてしまうことにもなる。本年の設問もいわゆる一行問題ではなく,具体的な事案を前提に与えられた問題についての分析能力が試されているのであるから,解答として記載すべき内容も自ずと絞られてくることを意識すべきである。
 なお,条文を引用するのが当然であると思われるのに条文を引用しない答案や,条番号の引用を誤る答案(例えば,民事訴訟法「第115条第1項第2号」と書くべきであるのに,「第115条第2号」や「第115条第2項」と書くもの)が多く見られた。法律解釈における実定法の条文の重要性は改めて述べるまでもないものであり,注意を促したい。
(中略)
 本年も,複雑な事案を前提に複数の課題に答えることが求められているため,事案及び問題意識の把握,答案の構成の検討,具体的な記述作業といった答案作成事務を試験時間内に的確にこなすことは決して容易なことではなかったと言える。そのためか,答案全体のバランスが前半に偏ってしまい,設問3については有意な記述がほとんどないという答案も散見された。もっとも,
これは時間配分に十分に留意することで大きく改善することができるから,言い古されたことではあるものの,時間配分を意識して試験に臨むことが肝要である。
 また,極端に小さな字(各行の幅の半分にも満たないような字)やあまりに細いペンで書いているために判読が困難な答案や,書き殴ったような字や崩した文字を使用した答案も多く見られた。これらには,簡単な心掛けで改善が可能であると思われるものも含まれているので,留意していただきたい。

【同年刑事系科目第1問から抜粋】
 なお,本問で罪責の問われている者は甲乙丙丁と複数のため,答案を構成するに際しては,各人において論じるべき点の相互関係に留意した上,各人の論じる順序を検討した方がよいと思われたが,ほぼ全ての答案が,乙丙甲丁等,適宜の順に応じて論じることができていた。
(中略)
⑹ その他
 例年指摘しているところではあるが,字が乱雑で判読しづらい答案も少数ながら存在したし,漢字に間違いのある答案も散見された。時間的に余裕がないことは承知しているところであるし,達筆であることまでを求めるものではないものの,採点者に読まれるものであることを意識し,大きめで読みやすく丁寧な字で書かれることが望まれる。

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平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

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