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答案用紙の表紙の書き方について

司法試験の受験生のレベルが下がっており、それを如実に表しているのが論文式試験における答案用紙の書き方です。

正式な答案用紙がどういうものかについては、法務省のホームページで司法試験のところにアクセスすれば、これを確認することができます。そして、法務省は、司法試験を「平成××年」という書き方で表現していることが分かります。

しかし、司法試験の受験予備校の中には、答案練習会の名称に西暦を用いているところがあります。この場合は、西暦を用いた書き方が「正式名称」になるのですから、受験生はこれに逆らうことが許されません。そして、受験予備校は、自分が主催する答案練習会をより身近なものとするため、略称を用いて宣伝します。もしかすると、受講している答案練習会の正式名称を書かず、略称で済ませていませんか。最初に答案用紙の必要事項を書かず、いきなり問題文を読んで、答案の中身を書こうとするので、最後は答案用紙の表紙を書く時間的余裕がないのかもしれません。

次に、受験予備校によって、答案用紙に書くべき必要事項は多少の違いがあると思いますが、答案を作成した年月日は必須となっていいるはずです。その答案を作成した年月日について、どう書くべきか考える必要があると思います。前記のとおり、答案練習会の名称については西暦を用いておきながら、答案を作成した年月日に年号を用いた書き方をした場合(平成28年×月×日)、全体として調和がとれているでしょうか。ましてや、答案練習会の名称について西暦を用いておきながら、答案を作成した年月日について、単に「28年×月×日」と書いている答案は論外であると思うのです。これが何だかおかしいぞと感じないのは問題です。

ところで、平成28年の司法試験の合格者を発表している法務省のホームページには、法科大学院別の合格者数等を記載した表も掲載されています。合格者数がゼロであったり、1人であった法科大学院は遅かれ早かれ消えます。合格実績を見ると、有望な学生はそのような法科大学院に入学しようとは思わないでしょうし、学生を受け入れる側の教員もやる気がでないでしょう。先日、箱根駅伝の予選会で連続出場の記録が途絶えた大学と同じで、余程のことがなければ復活はありえません。申し訳ないですが、廃校になるような法科大学院を設立したこと自体が問題でした。

では、そのような司法試験の合格実績が悪い法科大学院の受験生は、どうしたら司法試験に合格するのでしょうか。

出来が悪いということを自覚して、人一倍汗を流し、指摘された欠点を一個ずつ改めていく気概がないとダメでしょう。「権利を主張する前に義務を履行せよ。」です。毎年1500人の合格者が出ると仮定したら、司法試験を5回受験する頃には上位6000人が抜けている、そうなれば自分の順番が回ってくるだろうという甘い発想は通じないのです。

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公法系第1問(憲法)の解き方について(1)

【甲】
そこで,Xは,A市が助成の要件として本件誓約書を提出させることは,自らの方針に沿わない見解を表明させるものであり,また,助成が受けられなくなる結果を招き,Xの活動を著しく困難にさせるため,いずれも憲法上問題があるとして,訴訟を提起しようとしている。
〔設問〕
Xの立場からの憲法上の主張とこれに対して想定される反論との対立点を明確にしつつ,あなた自身の見解を述べなさい。なお,条例と要綱の関係及び訴訟形態の問題については論じなくてよい。

【乙】
〔設問1〕
あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして,性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるためにどのような主張を行うかを述べなさい。(中略)なお,同法が憲法第31条及び第39条に違反するとの主張については,他の付添人が起案を担当しているため,論じる必要はない。
〔設問2〕
〔設問1〕で述べられたAの付添人の主張に対する検察官の反論を想定しつつ,憲法上の問題点について,あなた自身の見解を述べなさい。

憲法の答案の書き方について検討したいと思います。上記【甲】は平成28年司法試験予備試験憲法の問題の一部分、同【乙】は同年司法試験公法系第1問、つまり、憲法の設問部分です。両者を比べて分かるのは、問題のスタイルが同じであるということです。つまり、(ある人物からの)憲法上の主張、それに対して想定される(反対当事者からの)反論、私見が問われているということです。そこで、注意すべき点を列挙します。

まず、憲法上の主張が問われているのですから、その主張の中に憲法の条文が引用されていることが必要となります。【甲】はある訴訟を想定し、【乙】は性犯罪者継続監視法という架空の法律が憲法に反するかどうかを検討するのですが、特に【甲】の場合は、Xが訴訟において勝訴するかどうかが問われているのではありません。あくまでも、提起する訴訟において、Xがどのような憲法上の主張をするかが問われているのです。したがって、この問いに対して、素直に、かつ簡潔に答える必要があります。これが問いに答えるということです。

次に、話が飛躍して恐縮ですが、最近の力士はインタビューに答えるのが上手くなったように思います。昔、取組直後のヒーローインタビューでは、元々息が上がった状態ですから、口下手な力士は何を質問されても鼻息だけが聞こえていました。しかし、時代が変わって、力士も話が上手くなった面があるのかもしれませんが、実際にインタビューの受け答えを聞いていると、質問されたら、まずは「そうですね。」と答え、質問を受けて答えているという素振りだけはしっかりしていることが分かって頂けると思います。

そこで、設問に答える姿勢を示すため、設問をそのまま疑問文にしてみましょう。【乙】の場合を例にすると、「あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして、性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるためにどのような主張を行いますか。」となるでしょう。そして、この文章をそのまま答案の書き出しに使うと、「私が弁護士としてAの付添人に選任されたとして、性犯罪者継続監視法が違憲であることを訴えるために同法が××の自由(憲法○条)に反し、違憲であると主張することが考えられる。」となるでしょう。設問に真正面から答える書き出しになっているはずです。この一文に迷いの要素はありません。端的に問題点を指摘しましょう。そして、続く文章において、問題となっている××の自由が憲法○条で保障される人権であることを論証します。

その他の注意事項を列挙します。まずは、きちんと主語を書いて下さい。民事裁判の場を想定した場合、当事者は原告、被告と呼ばれますが、刑事裁判の場を想定した場合、当事者は被告人、検察官になります。そして、被告人を弁護する者として弁護人が登場します。被告、検事、弁護士と書くと間違いです。当事者の書き方を間違った場合、考査委員が悪い印象を抱くのは当然でしょう(平成23年公法系第1問の「採点実感等に関する意見」を参照)。次に、主張、反論という言葉を適当に使ってはいけません。特に「反論」と書くべきところを、気の緩みからか「主張」と書いているものが目立ちます。答案の構成用紙に①Aの付添人→主張、②検察官→反論、③私見と書いて、注意喚起することも一つの方法です。さらに、「なお」書きがあれば、そこは注意しないといけません。わざわざなお書きにして、「論じなくていい。」、「論じる必要はない。」となっているのに、これを見落として論じている答案があります。問題文を読んで、「あの論点が出た。」と思ったら、設問がどうなっているかまで考えないのでしょうね。しかし、2時間という制限時間で、8ページで書き終えなければいけない論文式試験において、点にならない無駄なことを書いている余裕はないのです。

なお、上記の採点実感等に関する意見(今後は、これまでどおり、「採点実感」と略します。)には、「答案の書き方に関する一般的な注意」と題する項目が設けられています。そのようなことまで注意しなければいけない世の中になったのでしょう。法科大学院で法律実務を教えるのも重要ですが、もっと教えるべき重要なことがあると思います。ブログでも、段落を設けたら1文字分下げて書き始めるべきかもしれません。

公法系第1問(憲法)の解き方について(2)

設問に対して、「素直に、かつ簡潔に答える。」という意味で、私が引き合いに出すのが昭和61年に実施された司法試験憲法の第1問です。

【基本的人権の保障の限界に関しては、憲法第12条、第13条などにいう「公共の福祉」との関係において説が分かれているが、その相違を論拠とともに説明し、それと関連づけながら、海外旅行の自由の制約について、集会の自由の場合と比較して、説明せよ。】

この問題が出題された昭和61年当時は、いかにして司法試験の合格者の年齢を下げ、若い人(つまり、優秀な人?)の合格者数を増やすかが急務とされていました。その方策として、司法試験の受験回数に制限を設けるとか、若い人のために優先枠を設けるといった議論があったと記憶しています。私は、司法試験に若くして合格した人が優秀であることは認めますが、人間的にまともであるとは限りませんから、いろんな人を相手にする法曹には歳は関係ないと思っていました。少なくとも自分が受験生の間は、現状の試験であってほしいと願っていました。択一式試験が75問から60問に減って、連結問題、虫食い問題といった一癖ある問題が登場し、択一式試験を突破した人には、上記の憲法の問題が待ちかまえていたのです。

私は、この年に合格した人がいわゆる対比型問題に関する解き方を講演すると耳にし、その講演に顔を出しました。その講演で聴き取った内容は清書し、ルーズリーフ形式の憲法のノートの冒頭に挟んで、何度も見直しましたが、残念ながらそのノートが見当たりませんでした。ただ、設問に対して、素直に、かつ簡潔に答え、最後は「論筋を通す」ということを強調されていました。

どんなに訳が分からない問題が出題されようと、一定の合格者は出るのです。今年の受験生は例年に比べると出来が悪いようであるから、今年は合格者はなしにすると言われたら、天と地がひっくり返るような大騒ぎになるでしょうが、そんなことは起きません。受験生の数が減っていても、司法試験の合格者数が1000人を切る時代はすぐにはやってこないと思います。考え方を変えれば、やたらに難しい問題が出題された方が、皆の出来が悪くて差が付かないので、出来が悪い受験生にとっては好機到来かもしれません。論文式試験の採点対象となった中で、上位5分の1程度に入る答案を目指そうと思えば、何とかなりそうが気がするはずです。

ところで、昭和61年の憲法第2問は次のようなものでした。
【裁判所の自律性について、議院の自律性と対比して論ぜよ。】

本試験の影響もあってか、受験予備校が答案練習会でやたらに対比型の問題を出題し、「本当に対比できるのかな?」と思った時期でした。

公法系第1問(憲法)の解き方について(3)

【丙】
C社は,A市を被告として,本条例が違憲であると主張して,国家賠償請求訴訟を提起した。

〔設問1〕
あなたがC社の訴訟代理人であるとしたら,どのような憲法上の主張を行うか。なお,本条例による会費の算出方法の当否及び営業停止処分の日数の相当性については,論じなくてよい。
〔設問2〕
想定される被告側の反論を簡潔に述べた上で,あなた自身の見解を述べなさい。


【丙】は平成26年司法試験予備試験の憲法の問題の一部です。国家賠償請求訴訟という場において、どのような憲法上の主張を行うかが問われています。憲法上の主張を行うのは、C社の訴訟代理人としてのあなたです。訴訟代理人と代理人は違います。問題文で使われている表現を勝手に変えるのは厳禁です。

そこで、(想定される?厳密には、この表現は被告の反論の部分で使うべきです。)悪い論述例を示します。
「C社は、本件条例が憲法○条に反するから、国家賠償請求法上違法であると主張する。」

①前述したとおり、C社が主張するのではありません。C社の訴訟代理人(であるあなた)が、C社の憲法上保障されている権利が不当に制約されているから違憲であると主張するのです。②次に、細かなことですが、この問題では違憲の疑いがあるA市の条例について、「本条例」というとの断り書きがなされていました。それにもかかわらず、勝手に本件条例と書くのは誤りです。細かなことですが、問題文に逆らってはいけません。③さらに、国家賠償法上違法かどうかが問われているのではありません。何度も書きますが、「どのような憲法上の主張を行うか。」との設問に対して、素直に、かつ簡潔に答える必要があります。そして、法律の正式名称は国家賠償法です。


では、書き出しの文章はどうあるべきでしょうか。
「私がC社の訴訟代理人であるとしたら、国家賠償法上の違法を基礎づけるため、A市の本条例によって、C社の××の自由(憲法○条)が不当に制約されているので違憲であるとの主張を行うことが考えられる。」

司法試験の問題となる「××の自由」が憲法の条文でストレートに保障されていることは稀です。したがって、書き出しの文章に続けて、問題となる「××の自由」が引用した憲法の条文で保障されていることの論証をする必要があります。


ところで、「採点実感等に関する意見」(以下「採点実感」という。)を読むと、紋切り型の答案はいけない旨書いています。しかし、制限時間内に、自分の頭でそれらしい表現を思いつくことができますか。人権に関する問題を処理するパターンを身につけることは何も悪いことではないのです。ただし、問題の特殊性は考えてほしいところです。

また、「当てはめ」という言葉を嫌う考査委員がいるのも事実です(平成26年司法試験公法系の採点実感から抜粋:毎年のように採点実感で指摘しているためか,判断枠組みを前提として事案を検討する際に,「当てはめ」という言葉を使用する答案は,少なくなってはいるが,なお散見される。また,「当てはめ」という言葉を使って機械的な「当てはめ」を行う答案の問題性が際立つ。これも毎年のように指摘しているためか,行頭・行末を不必要に空けて書く答案は,少なくなってきてはいる。しかし,他方で,1行の行頭及び行末の各3分の1には何も書かず,行の真ん中部分の3分の1の部分だけに書いている答案などがなお存在する。)。考査委員が「当てはめ」という言葉を嫌っているということは、それに類似する言葉(項目立て)も嫌っていると考えるのが筋でしょう。これ以上は書きません。

まずは過去問を検討し、出題の趣旨を読み、さらに採点実感を読みましょう。採点実感を読んでおきながら、本試験であえて考査委員の気持ちを逆なでするような答案の書き方をするというのであれば、良い根性をしています。我が道を進んで頂いて構いません。

ところで、【主張→反論→私見】のパターンを踏みますが、問題とすべき点が2つあって、各主張、反論、私見を書くのに1ページを費やしていたら、どうなるでしょうか。今回は予備試験の問題を題材にしましたが、予備試験の論文式試験の答案用紙は表裏4ページになっています。したがって、書ききれないことも考えられます。ここで、考え方を切り替える必要があります。そういう問題に遭遇したら、受験生の上位5分の1に入るくらいの答案を書けば合格すると言い聞かせ、他の受験生が何を書くか考えましょう。論文式試験では、答案用紙に書いた内容だけが採点の対象になります。かといって、答案用紙に目一杯書かれている答案が出たら、考査委員はこれを読んでいてうんざりするはずです。

それから、句読点の区別ができていないものや(そのくせ、やたらに「. 」を打っている。)、1つの文章が終わるごとに改行して段落を設けているものがいるとすれば(あくまでも仮定の話です。)、日本語の文章作法が分かっていないと判断される危険があります。小学生レベルの問題です。否、小学生の方がきちんとしているかもしれません。なお、後者については、平成22年司法試験公法系第2問で改めるように注意されています。法科大学院で教鞭をとっている先生方、こんなことをと思わずに、きちんと指導してやって下さい。

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平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

しかし、ブログから新しい出会いが生まれ、有難いものであるということも知りました。

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