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弁護人は御用聞きではありません

国選弁護の対象事件が拡大され、被疑者段階(つまり、捜査のために勾留されている段階)でも国選弁護人の選任請求ができるようになりました。


被疑者(起訴されたら、被告人です。)やその関係者の中には、弁護人を御用聞きと勘違いしているような人間がいます。最近は、それが多くなってきました。接見したばかりなのに、警察から電話があったので、何かあったのかと思ったら、「携帯電話の料金を払ってきてくれ。」との依頼だったこともあります。端的に「金を差し入れてくれ。」という人間もいます。


ところで、弁護人を除いて接見等が禁止されているときは、状況を知るには弁護人を通じて知る以外にないわけですが、素性の知れない者と軽々しく話をすると、それが捕まっていない事件の関係者であったことが後日判明することもあり、注意が必要です。以前に、捕まった被疑者が事件の進捗状況を共犯者の弁護人から聞いて知っていましたと書かれた調書を目にしたことがあります。


また、接見等が禁止されていると、家族が普通に手紙を出しても、これを被疑者に取り次いでもらえませんから、弁護人に頼んでくる者がいますが、弁護人を通じて脱法行為をすることになる場合があります。したがって、弁護人が家族からの手紙を郵送する封筒に入れて送ったり、接見室でそのまま見せることには疑問を感じています。接見室では、弁護人と被疑者は1対1で話をしますので、携帯電話で話をさせたりして問題にされるケースもあり、稀にですが、検察官から懲戒請求がなされています。


「内容に問題がなければいいではないか。」という弁護士もいますが、それなら、接見等禁止の一部解除を申請すれば足りることであり、弁護人が独自に内容から判断して、「これはいい。」と言えるものではないと思うのですが…。


被疑者、被告人もいろいろですが、弁護人もいろいろということです。ただ、弁護人には一線を画す気概がないといけないと思っています。「坂の上の雲」を見ていますが、当時の日本人はきれいな生き方をしていたと思います。

被疑者国選弁護人と当番弁護士について

被疑者段階の弁護活動の主なものとして、被疑者国選弁護人と当番弁護士があります(私選弁護は除きます。)。


かつては起訴されて被告人になって初めて国選弁護人が選任されていましたが、現在は、被疑者の段階から国選弁護人を選任してもらうことができます。しかし、無条件ではありません。


死刑、無期懲役(禁錮)、長期3年を超える懲役(禁錮)にあたる事件である必要があります(①事件の軽重)。次に、被疑者が②勾留されていなければいけません。さらに、③貧困等で弁護人を選任できないことも必要です。一応、被疑者に資力の有無を自己申告させることになっています。最後に、④被疑者が、弁護人の選任を請求しないといけません。テレビで報道される重大殺傷事件は被疑者国選弁護の対象事件ですが、被疑者が弁護人の選任を請求しなければ、どうしようもありません。場合によっては、訴訟費用(国選弁護人の報酬)の負担を命じられる(ほとんどその例はないと言えるでしょう。)ことがネックで、請求をしない方もおられるようです。


これに対し、当番弁護士は、被疑者国選弁護の対象事件以外の事件や、勾留される前の逮捕段階に、弁護士に来てもらってアドバイスを受けたいというときに利用されます。1度だけで、無料となっています。


事件の性質からして弁護人のアドバイスが必要であると考えたら、要請がなくても弁護士の方から被疑者に接見に行くこともあります。被疑者が了解してくれたら、「弁護人になろうとする者」として接見することができます。


どういう弁護士が、被疑者国選弁護人、あるいは当番弁護士として来るかは順番ですから運次第です。逆に言えば、どういう被疑者に当たるかも運ということになります。当然、はずれもありますね。

国選弁護人の複数選任について

裁判員裁判の対象事件であれば、通常、事件が重大であると考えられます。しかも、集中的に行われる審理を一人の弁護人がこなすのは、ちょっと厳しいものがあります。


そこで、裁判員裁判の対象事件で、(被疑者)国選弁護の場合は、複数、すなわち、2人の国選弁護人が選任される傾向が定着しています。もっとも、今でこそ定着したと言えますが、融通の利かない裁判官にあたって困ったことがあります。自分が先例を作る勇気がないのですね。そして、被疑者段階で複数選任が無理でも、起訴されて被告人になると、複数選任が認められやすいです。起訴されたら、裁判所は合議体、つまり、3人の裁判官で事件を審理し、検察官も複数で対応するのに、弁護人だけ一人となると、被告人の防御権の行使が難しくないかと思われるようです。


ところで、複数の(被疑者)国選弁護人が選任されるまでの通常の過程は次のようになっています。


裁判官による勾留質問で、被疑者が、国選弁護人の請求をすると、一人の弁護人が選任されます。ここで自分には裁判員裁判の対象となる事件の弁護は無理であると思えば、受任しなければいいのです。受任するかどうかは、勾留状の被疑事実を見ることによって判断できます。ただ、余罪が裁判員裁判の対象事件であったり、訴因変更によって、裁判員裁判の対象事件になることがあり、そのときは諦めが肝心です。


その後、弁護人が被疑者と接見し、事実を否認しているとか、被疑者が遠方にある警察の留置施設に勾留されているため、頻繁に接見することが困難であるといった理由から、裁判所に複数選任の上申書を提出し、裁判所が了解してくれたら、もう一人弁護人が選任されます。


このとき、誰に弁護人になってもらうか、よく考えるべきです。屁のツッパリにもならない弁護士に2人目の弁護人になってもらったら、3人目が必要な場合も生じ、国費の無駄ということになります。刑事弁護をしたことがない弁護士、それに近い弁護士が組んで、いきなり裁判員裁判の弁護をするのは無理があります。被告人は、モルモットではありません。また、裁判所も3人目の国選弁護人を認めるかどうかについては慎重に判断します。


まずは前転から始めるべきで、いきなり月面宙返りをしたら、怪我をします。


【国選弁護人の複数選任について(続)】

http://ameblo.jp/ogmomo/entry-11282991052.html

銭の話です。

ときにはお金の話をしましょう。


【前提】

国選弁護を例にし、A罪、B罪ともに被疑者国選弁護の対象事件であると仮定します。


被疑者甲がA罪で勾留され、国選弁護人に選任されました。被疑者段階は、弁護人として被疑者と接見した回数を基準に報酬が算定される仕組みになっています。そして、被疑者甲がA罪で起訴されると被告人となり、引き続き弁護人を務めることになりますが、被告人段階の報酬は公判の回数とその時間の長さによって算定されます。


【第1事例】

甲に余罪としてB罪があり、これで甲が再逮捕されたとします。A罪による起訴とB罪による再逮捕に時間差があります。再逮捕するかどうかは捜査機関が判断します。通常、(被疑者)勾留されると、国選弁護人の選任手続を行い、上記のとおり、B罪について被疑者である甲と接見した回数によって報酬が算定されるのです。そして、B罪で追起訴されると、報酬を算定する際、追起訴加算があります(追起訴加算は1回のみです。)。


【第2事例】
B罪について、A罪の被告人勾留を利用して捜査を行い(別件勾留中)、検察官がB罪を起訴した場合は、B罪について被疑者国選弁護制度の利用がないので、仮に接見していても、報酬に反映されません。ただし、追起訴加算はあります。このやり方で余罪を処理することが多いと思います。


【第3事例】

A罪について起訴すると、弁護人が保釈請求し、これが許可される可能性が高い場合、A罪について処分保留で釈放すると同時に、B罪で再逮捕し、勾留するということが考えられます。被疑者として勾留中の者には保釈が認められないからです(刑事訴訟法207条1項ただし書き)。この場合、再び被疑者国選弁護人に選任されると、接見回数を基準に報酬が算定されますが、検察官はA罪とB罪を一括して起訴しますから、追起訴がなされず、その結果、追起訴加算がありません。なお、A罪で起訴して、B罪で即再逮捕しておけば、通常、弁護人は保釈請求しませんが、保釈請求の対象であるA罪があるという現実があります。A罪を不起訴にする場合は、B罪で起訴する際に不起訴処分にします。


弁護人である弁護士にとって、どれが一番いい処理かお分かり頂けるでしょうか。

疑問(1)

昨晩、法テラスの業務説明会がありましたので、顔を出してきました。


私は、7月に行われた裁判員裁判の報酬の計算方法について、法テラスとの間で一悶着あり(むかっ)、そのことに関する説明もあるということでしたから、完全に臨戦態勢に入っていました。


ところが、それ以上に驚くべきことがありました。9月13日、つまり、本日から国選弁護活動の際にタクシーを利用した場合のタクシー代の支給基準を変更するというのです。従前は、いくつかの要件を充たし(どこでもタクシー代が支給されるわけではありません。)、徒歩での移動距離が「1キロ」を超える場合であったのを、いきなり「2キロ」に変更するのです。本部から相当前に変更の指示があったにもかかわらず、今回の説明会を利用して変更を知らせるため、9月12日までは従前通り、翌13日からは新基準を適用するとしたそうです。


私は、法テラスの連中は気配りができないのかなと思いました。


もっと以前から周知徹底し、今回の基準の変更によって適用外となる警察署に被疑者、被告人がいる事件の弁護を担当している弁護人に注意喚起しておく必要があると思いました。変更があったことを知らず、今日、移動にタクシーを利用する弁護人がいるかもしれません。その弁護人は、当然、タクシー代を請求するでしょう。しかし、法テラスは、所詮、お役所ですから、「9月13日以降はタクシー代を支給しないことになっています。」と杓子定規に処理するはずです。


それから、弁護士が民事事件の代理人をする場合、法テラスが依頼者に代わって、着手金等を支払っていますが、きちんと償還しない依頼者が多く、困っているそうです。そのため、受任した弁護士に依頼者への督促をお願いする場合があるので御協力願いたいとも言っていました。

「国選だから冷たい。」

私が刑事事件の弁護人を引き受ける場合、国選であろうと、私選であろうと基本的に同じ気持ちです。つまり、弁護人(弁護士ではありません。)としてやるべきことは、きっちりやるということです。


逆の言い方をすれば、弁護人の職務の範囲外であることはしません。例えば、①家の立ち退きに立ち会ったり、②元の雇用先に未払賃金の支払いを求めたり、③第三者に連絡を取ることなどです。なお、他の弁護士が、弁護人としてこれらを処理されることまで否定するものではありません。


③について、若干補足すると、接見等禁止決定がなされて、罪証隠滅の防止を図る必要がある場合に、弁護人が氏素性の分からない第三者に連絡するのは危険ですし、上記の決定がないときは、親族を介して第三者に連絡することによって、目的は達成できます。



また、極端な例を挙げますと、事件を起こして逮捕勾留されたため、配偶者から離婚の調停を申し立てられたり、訴えを提起されることがありますが、これに対応することは弁護人の職務ではありません。きちんと受任し、「代理人弁護士」として活動すべきものと考えます。中途半端な答え方をすると、却って恨まれることがあります。


疑問を感じつつ、やっているのが示談交渉です。厳密に言えば、示談交渉、つまり、損害の賠償(現金を盗まれた窃盗の被害者に、現金を返す場合など。)は民事に属する職務と言えるでしょうが、委任状をとることなく、弁護人という立場で行っています。私が嫌いな法テラスも、弁護人の報酬算定の項目として、示談が成立したことを挙げていますから、特に問題はないのでしょう。


私は、私選弁護人であっても、身の回りの世話や第三者への連絡など、本来の刑事弁護と関係ないことばかり依頼してくる案件は、即辞任するようにしています。不愉快な想いをしてまでやる仕事ではないと思っています。これに対し、国選弁護人の場合は、辞任ができませんので、裁判所に私への不満を書いた手紙を書くよう言っておきます。実際にそのような手紙を書けば、信頼関係を維持できないとして、弁護人を解任してもらう材料になります。

国選弁護人の複数選任について(反省)

久しぶりに被疑者段階の国選弁護人の複数選任に関する上申書を起案しました。


自分で起案しておいて情けないです(人気記事ランキングに「国選弁護人の複数選任について」がランキングしており、ビシッと決めたいところです。)が、インパクトが無いなあと思っていたら、案の定、裁判官から必要性について補充するようにとの希望(暗に命令)がありました。つまり、このままであれば、国選弁護人の複数選任について職権発動はしないということでした。そこで、シコシコ補充の書面を起案した結果、何とか複数選任を認めてもらうことができました。法律家は、説得力のある書面が起案できないと話になりません。



まず、事案(罪名)が重大であることを指摘すべきでしょう。


次に、殺人未遂の場合を例にすると、客観的な行為が人を殺害するに十分なものであり、被疑者が殺意を認めているのであれば、それは通常殺人未遂で起訴されるはずです。むしろ、殺人未遂が成立するかどうか微妙な事案の方が弁護人がより多く被疑者と接見し、無理な取調べがなされていないか確認する必要があるはずです。検察官が悩んで、結果的に傷害に落として起訴する場合の方が複数選任の必要性は高いということになります。しかし、被疑者がたとえ近い警察署の留置施設に収容されていても、弁護人1人では接見するのに自ずから限界があります。


最後は、強調したい部分に下線をひくなどの工夫をすべきではないでしょうか。

国選弁護人の職務について(1)

刑事訴訟法は、「第4章 弁護及び補佐」と題し、弁護人のことに関しての条文を置いています。また、弁護士職務基本規程は、こちらも「第4章 刑事弁護における規律」と題し、4つの規程を置いています。


弁護士は、国選弁護人であろうと、私選弁護人であろうと、被疑者や被告人の防御権が保障されていることから、その権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努めることが求められており、被疑者や被告人が身柄拘束されている場合は、接見はもちろん、身体拘束からの解放に努めることが求められています。したがって、勾留が不当であると考えればこれを争い、被告人の場合は保釈を検討するでしょう。


そして、国選弁護人の場合は、名目のいかんを問わず、被告人その他の関係者から報酬その他の対価を受領してはならないとされ、また、その事件の私選弁護人に選任するよう働きかけてはならないとされています。


そのため、私は、お土産の類であっても一切受け取らないことにしています。実際にお土産を持ってこられているのに、これを突っ返すのは失礼なことかもしれませんが、事情を説明させて頂き、徹底しています。仮に、宅配便で特産品が送られてきた場合は、受領を拒否します。もちろん、非礼は詫びます。先に「お土産は受け取れませんから、持ってこないで下さい。」と言うと、その発言とは裏腹に、「お土産、待ってますよ。」と理解されるかもしれません。ですから、先に念を押すのは稀ですが、あることはあります。


また、被告人の強い希望で国選を私選に切り替えたところ、裁判官から御下問を受け、不愉快な思いをしたことから、絶対に上記の切り替えはしないことにしました。「どうしても私選を」と言われるのであれば、他の弁護士に依頼して頂くことになります。その際、私が他の弁護士を紹介することもないです。というのは、弁護士による不祥事が続いていますが、紹介した弁護士に不手際があると私に火の粉が降りかかってくるからです。


さらに、一審を国選弁護人として活動したところ、控訴審の弁護を私選で依頼されることがあります。裁判所から見たら、印象はよろしくないと思います(金がないから一審は国選にしたはずであるのに、控訴審は私選か?)。私は、国選弁護でも差し支えないのではないかと説得した上で、「私選でお願いしたい。」という一筆を取るようにしています。もっとも、依頼者が、この一筆について「弁護士から無理に書かされた。」と言う事態になったら、覚悟が必要でしょう。 

国選弁護人の職務について(2)

弁護人」というのは、一般的には①弁護士が②刑事事件を処理する場合の名称(肩書)です。そして、被疑者や被告人が貧困その他の理由によって弁護人を選任できない場合は、国選弁護人が選任されます。



いずれにしても、弁護士であれば、何でもできるというのではなく、どんな案件の処理するために、どういう立場にあるのかが重要になってきます。そして、あくまでも刑事事件と民事事件は別個のものです(昔の警察は「民事不介入」という言葉が好きでした。)。例えば、国選弁護を担当している被告人が、配偶者から離婚訴訟を提起されても、国選弁護人が訴訟代理人になるわけではありません。被告人が貸した金を返せと訴訟を提起されても同様です。


以上のように、刑事事件と民事事件は別個ですが、それを分かっていながら、国選弁護人として行っているのが、被害者との間での示談交渉(被害弁償を含む。)です。示談交渉は民事事件に関するものですが、示談が成立すれば、刑事事件の処分を決めるに際し、被疑者や被告人にとって有利な情状となるため、国選弁護人がこれを行っているのが実情です。しかし、場合によっては、示談交渉するについて委任状をもらった方が無難な事例もあると思います。この点、法テラスは、国選弁護人の報酬を決定するにあたって、損害賠償したことや私法上の和解契約が成立したことなどを特別成果として報酬をアップする基準に挙げています。


しかし、①建物の明け渡しに立ち会えだとか、②家屋から荷物を持ち出すのに立ち会えと要求されても、国選弁護人には権限がありません。それらの要求をされる一般の方は、国選弁護人の権限について理解されていないばかりか、弁護士であれば、何でも出来ると誤解されているのではないでしょうか。特に、証拠隠滅等を防止するため、接見等禁止決定がなされている場合は、素性の知れない者と軽々に事件の話をすべきではありませんし、荷物を持ち出すことは、後日、重要な証拠を無くなった、弁護士がこれに関与したとも言われかねないので注意が必要です。


ところで、最近は、事件がややこしいと言うより、被疑者や被告人がややこしい場合が多く、様々な要求があります。警察も対応に苦慮し、「弁護士に頼んでみろ。」と言うらしく、当然のような顔をして、「○○に連絡して、金を差し入れてもらってくれ。」、「携帯電話の料金を払ってきてくれ。」、さらには「金をくれ。」と言われたりします。こうなると、弁護人は刑事弁護を担当する者というより、身の回りの世話をする者といった感じがしてきます。


最近は、無茶を言われても動じなくなりました。

国選弁護人の職務について(3)

国選弁護人であっても、私選弁護人であっても職務の内容に変わりはありません。「弁護人」という以上、刑事弁護を担当する弁護士を意味しています。


ただ、話が横道に逸れますが、私選弁護人の場合、金がどこから出ているか注意しないといけません。相応の金がもらえさえすれば、金に色はついていないと考える方もいるでしょう。しかし、私のように暴力団が関係した刑事事件の私選弁護はしない主義(国選で受任した事件が暴力団関係者であったという場合は諦めますが、勾留された被疑事実を一見して、それと分かる場合は受任しません。)の人間にとっては、暴力団関係者と一緒に犯罪を犯した素人の私選弁護を依頼されたとき、金がどこから出ているか無視できません。「虎の威を借る狐」、つまり、暴力団の威勢を借りて肩で風を切っている素人の方が悪質であると思うのです。また、よく調べてみたら、金が出してくれた人間が事件の黒幕であったということもあるでしょう。



次に、接見等禁止決定が出ている場合は、特別な配慮が必要となります。


捜査段階で、勾留して身柄を拘束するだけでは罪証隠滅のおそれがある場合、さらに、被疑者は弁護人以外の者との接見や物の授受が禁止されます。これは結構堪えるようです。私が見ていると、警察は被疑者にプレッシャーをかける意味で、検察官に接見等禁止請求をするよう促す傾向があります。しかし、被疑事実を見る限り、接見等禁止決定がなされている理由が腑に落ちず、何かあるなあと思って、被疑者と接見すると、「なるほどね。」と思うこともあります。


接見等禁止決定がなされると、親族であっても被疑者と接見できませんし、手紙のやり取りもできません。そのため、親族の中には、弁護人宛に、被疑者に読ませたい手紙を送ってくる人があります。その心情は理解できますが、私は、その手紙の内容を確認して問題ないと判断したら、パソコンで内容を要約した書面を起案し、被疑者と接見する際は、この要約書面を使うようにしています。親族が自筆で書いてくれた手紙に比べると、無味乾燥した要約書面ですが、親族の心は通じると信じています。そして、接見等禁止決定がなされているにもかかわらず、弁護人の判断で、被疑者と2人きりの接見室において、親族の手紙そのものを被疑者に閲覧させるのは脱法行為であると考えます。それならば、親族の手紙を差し入れできるよう、接見等禁止の一部解除請求をすべきでしょう。


同様に、被疑者の居宅に立ち入る必要があるとなっても、弁護人は関与すべきではないと考えます。居宅の鍵を誰に渡すかについて、接見等禁止の一部解除請求をして、裁判官の判断を仰ぎ、請求が認められない場合は裁判官がそう判断したとして関係者を説得すれば足りることです。また、請求が認められたら、関係者が直接居宅の鍵を宅下げしてもらえばいいのであって、弁護人がこれに介在することは極めて危険です。


それから、黙秘権について触れます。捜査を担当する者は、被疑者に黙秘権があることを告げます。裁判では、裁判所が被告人に黙秘権があることを説明します。黙秘権を行使しても不利益に扱うことはできないとなっていますが、それは建前であって、裁判をするのは人間ですから、心の中では不利益に扱っているはずです。


特異重大事件を審理した裁判員裁判で、被告人が黙秘権を行使したら、非難されていましたが、これは間違いです。また、和歌山のカレー事件であったと思いますが、黙秘権を行使すると言った被告人に対して、検察官が延々と被告人質問を行いました。このような場合、弁護人としては、憲法上保障された黙秘権を侵害するとするとして異議を述べる必要があります。


被疑者が不合理な弁解をしたら、私は「貴方に保障されている黙秘権は嘘を言ってもいいという権利ではないからね。まず、私が納得できるような説明をしてくれるかな。」と言い、最後は「黙秘して、署名指印も拒否しなさい。」とアドバイスするようにしています。弁護人としては、当然のアドバイスであって、やましいところはありません。


【余談】

甲と乙が共同で起訴されたとします。裁判において、(共同)被告人乙が、被告人甲に対する関係で黙秘権を行使した場合、乙の検察官面前調書がどのようにして証拠に採用されるか。受験生は理解してくれているでしょうか。

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Author:オグちゃん
平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

しかし、ブログから新しい出会いが生まれ、有難いものであるということも知りました。

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