Entries

合格答案の書き方について(1・心構え)

このブログを利用して、論文試験の答案の書き方について私見を述べたいと思います。もちろん、ここでいう論文試験というのは、司法試験のそれを念頭に置いていますが、例えば、検察庁内部での検察官になる考試でも役立つように心掛けていきます


まず、答案の中身に入る以前の問題です。すでにこの段階で試験は始まっていますね。


必要事項はきちんと書きましょう。次に、答案用紙の取り違えがないか確認しましょう。どんなに良い内容の答案を書いても、答案用紙を取り違えたら話になりません。自分に限ってそんなことはないという過信は禁物です。私は、答案練習会で2回も答案用紙を取り違えました。そのときに、何があるか分からないと思いました。そして、どんな問題が出題されても、第1問から解答するようにしました。


出題科目が刑法の場合は、これを略して書いている方はあまりいないです。ところが、刑事訴訟法になると、「刑訴法」となっています。手抜きをしてはいけません。また、名前を殴り書きしている答案があります。これは論外です。自分の一生を決める試験だと肝に銘じて下さい。


それから、内容面で共通することですが、1つの文章は短くして、「接続詞」でつなぎましょう。この点、法律家の文章は長く、その典型は検察官の起訴状です。どんなに複雑な事案でも、1つの文章で起案することが「作法」になっているので仕方ありません。しかし、受験生の間は真似しない方がいいと思います。そして、日本語の文章としておかしくないか、書きながら読んで下さい。また、字は綺麗であることに越したことはありませんが、下手でも読みやすい字を心掛けましょう。なお、考査委員をされていた、司法研修所の教官は、「一生がかかっている答案ですから、字が下手でも最後まで我慢して読むよ。」と言われていました。


来年の試験に向けて、そろそろ答案練習会が始まります。「あっ、なるほど。」と思ってもらえる連載にしたいと思っています。(続)

合格答案の書き方について(2・自説一本主義)

司法試験は難しいと思われています。しかし、その難しさは、実は意外に簡単だということが分からないということに起因している気がします。


私は、ある先生に出会って、目からウロコが落ちました。「自説一本主義」と言われていました。この先生に出会うまでの私は、基本書を漫然と読み、論文試験の答案に書けないようなことを憶え、実際にはそれらしいことしか書けなかったのです。それでも、そこそこの成績にはなりました。上位の者が合格すると、次第に俺の番が近づいていると勘違いしていました。


そもそも論文試験においては、「君は、この問題についてどう考えるか。」という問いを投げかけられているわけですから、受験生は、その問いに対して、素直に、かつ簡潔に、「私は、…と考える。」と書いたら、それで十分ということになります。つまり、自説一本を準備しておけば足りるのです。


学者はいろんなことを言って、本にしますよ。しかし、それを全部憶えていたら、頭がパンクしますし、司法試験では学説や判例の動向が聞かれているわけではありません。折衷説は結論の妥当性は保てると思いますが、書くのが大変です。試験委員が一読して「この人は基本が分かってるな。」と思う答案を目指して下さい。決して難しいことを書く必要はありません。受験生に教えてもらわなくても、試験委員は分かっています。所詮、どんなに難しい問題が出題されても答案用紙の枚数は限られています。それから、ときどき、「…参照」と書いている方がいますが、試験委員に対して、「見ろ。」というのは失礼であるとは思われませんか。


よろしいですか。まず、自説をしっかり決めて下さい。


その際、司法試験が実務家になるための試験であることを前提に、判例、あるいは通説のいずれかを自説に決める必要があります。そして、自説を決めたら、そう考える理由がないといけません。


その際、「なぜなら」という接続詞で始まる文は、「だからである。」で終わるのが日本語の文章作法ですから、注意して下さい。まともな日本語の文章が書けない人は司法試験に合格しません。そこまで甘くはないです。もし、理由の文章が長くなって一読して分かってもらえないかもしれないと感じたならば、「以下、その理由を述べる。」と書きましょう。


たしかに、問題によると、訴訟代理人としての主張、被告としての主張(反論)、あなたの見解(つまり、自説)を述べよとなっているものがありますが、3つも説を憶えていたら、大変です。この種の問題に対応するには、自説のほかに、変な説をもう一つだけ用意しておけば足りるのであって、3つ違う説を展開しなければならないという固い発想は捨てて下さい。そして、大事なのは、あくまでもあなたの見解(何度も言いますが、自説ですよ。)ですから、それについて、しっかり基本原理に遡って、量をとって論じてもらう必要があります。


通常は、あてはめに入る前に勝負は決していると思います。



合格答案の書き方について(3・分からない問題が出題されたとき)

司法試験の論文試験において、すべて得意とする分野から問題が出題されるとは限りません。見たことのない問題が出題されることもあるでしょう。どんなに準備していても、完璧はありません。


私の経験からすると、答案の正しい書き方を身につけ、論点を7割程度潰したら、合格できるような気がします。恐らくは、とんでもない答案を書くことがなくなり、1通の答案に致命的な点が付けられることがなくなるからだと思います。


出題者が聞いていることは分かるが、よく理解していない論点、前々から嫌な分野であると自分でも認めていた論点が、万が一、本試験で出題された場合の対処法について、検討します。


まず、論点を拾う作業をして、順位を付けます。そして、論点と分かっていても、他の受験生が何を書くだろうかと考え、常に多数派に属するように、書くべき論点を決めます。分からない問題が、下位に位置づけられるものであれば、思い切って、「触れない」勇気が必要かもしれません。書面にして何を書いているか自分でさえ分からないことは、それを読んだ採点者は理解できないはずです。あえて答案に書く危険を冒せば、零点ではなく、印象点を考えると、マイナスになるかもしれません。触れない、これも一つの選択肢だと思います。


次に、論点が少ない場合は、それに触れないことは不合格を意味しますから、関係する条文を指摘し、条文の趣旨や基本原理に遡って一貫した論述を展開して、明らかにおかしいと言われないよう、自由に発想しておけば足りると思います。筋を通せたら勝ちと割り切って下さい。


基本的な論点でさえ、まともに書けている答案は少ないです。この程度の受験生は、自分から落ちてくれます。合格できるかどうか勝負することになる受験生の数は相当少ないはずです。2000番で合格しても、就職先があるか将来が不安ですが、不合格で消えていくよりはいいと思いますよ。



合格答案の書き方について(4・過去問の検討)

どんな試験でも合格するために、過去問(過去に出題された問題)を検討することが不可欠です。過去問を検討する中で、何を、どれくらい書いたら合格するのか分かると思います。


司法試験の場合、昭和の時代からすると、問題数は相当の数に昇ると思いますが、いろんな基本書を読み散らかして論文試験で使えない、書けない知識を頭に詰め込み、分かった気になるよりは、過去問を検討する方が何倍もの効果があると思います。


あくまで私見になりますが、学者が出題する答練は避けた方がいいです。試験の傾向は受験予備校が分析してくれますし、似た形式の問題を作成してくれますので、それで訓練をするといいでしょう。


日頃の勉強は、過去問を検討することから始まります。出題されている分野をチェックすると、昔から何度も出題されている分野があることが分かります。昔はいわゆる一行問題でしたが、現在は長い事例問題で、形式は変わっています。しかし、肝心な問題点は変わっていません。したがって、過去問を素材にして論点を潰します。一度しか出題されていない分野でも、過去問を解答するに必要な範囲内で、必要な資料(ノート)を準備します。過去問を検討し、実際に答案を書くとして、8ページで収めるにはどの論点をどの程度書く必要があるか検証して下さい。


最後は、やはり過去問です。その問題を見たとき、どういう論点を思いつき、どういう順番で触れ、どういうあてはめをするか、頭の中で考えます。

合格答案の書き方について(5・基本原理とパターン)

民事系科目について云々する資格はありませんが、答案の書き方には共通するものがあると思っています。


[憲法]

全体を通しての基本原理は国民主権であり、人権を制約する場合の問題は公共の福祉(各条文を引用して)に関する論述が必要です。パターンは決まっています。


[刑法]

罪責を論じるにあたっては、(実行)正犯から検討しなければいけません。したがって、「甲、乙及び丙の罪責を論じなさい。」となっていても、正犯が乙であれば、乙から検討しなければなりません。その際は、「共犯従属性説が妥当であると考えるので、正犯である乙の罪責から検討する。」と一言断っておけば足りると思います。


罪数では「牽連犯」くらい漢字で書けるようになりましょう。そして、「通常」、手段と結果の関係になっている場合にはじめて牽連犯となります。


[刑事訴訟法]

捜査は令状主義、公判は伝聞法則がメインになります。しっかり論述するパターンと短くまとめたパターンを準備しておく必要があります。

全体を通しては刑事訴訟法1条の存在が重要です。


[あてはめ]

自説の論じ方も同じことが言えますが、説得力がある書き方をして欲しいです。


例えば、被告人に不利な事情が2ページ「も」書いてあるのに、被告人に有利な事情が1ページ「しか」書いていない場合、結論は被告人に不利なもの、つまり、実刑とならないと説得力がありません。


合格答案の書き方について(6・原則と例外)

通常、司法試験では「例外の例外」を聞いてきます。その場合、まず、原則がどうなのかをきちんと書かないといけません。次に、例外を考えます。


ここで、大事なことは、原則と例外を区別して書くということです。どうして、原則と例外になっているかといえば、趣旨が反対だからですから、相容れない内容を区別しないで書くことは、何を書いているのか分からないことになります。この「原則と例外」の関係は、例えば、条文上ですと、「本文とただし書き」で示されるはずです。


【原則】

まずは、本文についての立法趣旨を書きます。「そもそも(思うに)…。」の次は、「とすれば、…。」、「それゆえ、…と規定されているのである(○条本文)。」となります。


【例外】

「この趣旨に照らすと、…の場合にまで、…することはないはずである。」となり、続いて、「そこで、例外的に、…と規定されている(同条ただし書き)。」となります。


ここから先は、明らかにおかしいという場合を除き、結論にこだわる必要はなく、受験生は自由に発想することが許されていると考えます。これまでにも書かせてもらいましたが、「筋を通す」ことができたら、合格です。勉強すればするほど、知識は増え、判例の事案も研究することになりますが、問題を見て、「あの判例の事案だ。…という結論にしないとな。」という考えは捨てて下さい。


それから、事例問題ですから、いきなり一般論から書き始めたら、問いに「素直」に答える姿勢がないと判断されます。事例を引用して問題提起し、それが条文のどの文言の解釈に関する問題なのかを明示して下さい。問題提起がきちんとできている答案は、大体安心して読み進んでいくことができます。

きれいな字が書けるのは財産です

私は、自分で言うのも何ですが、「きれいな字で書きますね。」と誉められます。その度に、おふくろに感謝しています。小学生のとき、書き方揮毫会があり、入賞させようと燃えに燃えたおふくろから、何度も書き直しを命じられ、ときにはどつかれたこともありました。


司法試験に合格できず、苦しんでいたとき、ある先生に出会ったのですが、答案の講評に「論理展開もなかなかですし、字もきれいなので有望です。」と書いて頂き、そのことをおふくろに伝えたら、喜んでいました。


その先生は、ミミズがのたくったような字を書く生徒に対して、「司法試験に合格したいのであれば、まず字の練習をしろ。下手でもいいから、読みやすい字を書け。」と言われていましたが、いい年をしたおっさんが字の練習をするはずがありませんよね。


しかし、字が下手な人(解読しなければいけない人)は、司法試験の論文試験でどのような問題が出題されても常にハンディを背負っている、逆に言えば、字がきれい人はそれだけ有利ということにならないでしょうか。もちろん、論文試験は書き方揮毫会ではありませんから、内容を伴っていなければ、いくらきれいな字で書いても点にはなりませんし、きれいな字の方が読みやすいことから、さっさと低い点をつけることができるかもしれません。ただ、答案を読む試験委員が「人間」であることを忘れてはいけません。


答案用紙の表紙は、本試験では取り除いて採点に回すのでしょうが、表紙の名前が殴り書きであったりすると、「やる気があるのかな?」と思ってしまいます。はっきり言えば、ムカムカしてきます。そして、私の経験からすると、そのような殴り書きをするような人の答案は、中身も大したことがありません。


読み手の立場になって、読みやすい字で答案を書くというのも常識の一つだと思います。

これがノートです

オグちゃんのブログ-110305_141608.jpg

オグちゃんのブログ-110305_141839.jpg


見づらいものになって、申し訳ありません。


上が手書きのものです。欄外には、試験に出題された年、論点、自説、理由等の項目を書き、右の部分はラインマーカーで色を塗っています。キーワードは色が重なっていたり、下に線を引いており、忘れないようにしていました。


下の方ですが、出題されそうな論点を含む問題について、答案を起案し、これをワープロで打ったものです。過去問も同様に処理しています。


※ノートが出来て、時間が余っていたので、ワープロを買いました。

合格答案の書き方について(7・設問に答えること)

司法試験の論文試験を例にとって、合格答案の書き方(書き出し)を具体的に検討したいと思います。


まず、設問に対して、素直に、かつ簡潔に答える必要があります。自分が書きたいことを書くのではなく、聞かれていることに対し、設問に即した形で答えなければならないのです。


問題文は省略しますが、過去の新司法試験の設問に「あなたがAの弁護人であったとして、裁判においてどのような憲法上の主張を行うか、体的に論じなさい。というものがありました。


今回は設問自体が疑問形になっていますが、どういう出題形式であっても、とりあえず、自分の頭の中で、設問をそのまま疑問形にしてみましょう。


その過程を経て、設問に答えるとなれば、「まずAの弁護人としては、…ということから、Aの○○の自由(条文)を侵害し違憲であるので、Aは無罪であると主張することが考えられる。」という書き出しになると思います。


①基本的なことですが、文の始めには接続詞を書きましょう。また、受験生の間は、一つの文は短くして、接続詞でつなぎ、論理を展開していきます。時々、「…ところ、…。」と書いている人がいますが避けた方がいいですね。繰り返しになりますが、まともな日本語の文章が書けない人が多いです。


それから、何が書いてあるのか読んでいて分からないでいたら、最後に「だからである。」と書いてあり、「理由の文章だったのか。」と思い、もう一度読み返すことがあります。その場合、文頭に「なぜなら」という接続詞を書いておいてくれたら、採点者は、「理由の文章を書くのだな。」と思って(読んで理解できるかどうかは別問題ですが。)読むことができるのです。


誰の主張あるのか、きちんと確認して下さい。今回は刑事裁判において憲法上の問題点を主張し処理する(「弁護人」と書いてあるから、分かりますよね。)ことになります。しかし、必ずと言っていいのですが、「原告」と書いてしまう受験生がいます。途中で注意力が散漫になっているのでしょう。また、刑事裁判で「被告」と書いてあったら、それだけで不合格にしたくなります。


③憲法上の主張ですから、当然のことですが、憲法の条文が引用されてないといけません。


④さらに、上記の文章で終わったのでは、設問に答えたことになりません。なぜなら、その主張に具体性がないからです。したがって、その続きとして、「すなわち」という接続詞でつなぎ、具体的な論述を展開していくことになります。


具体的な中身、つまり、論点については事前に勉強しているはずです。しかし、その論点をポンといきなり書くようでは、設問に答える形式で答案を書いたとは言えません。事前に準備できる論点を味噌汁に例えましょう。試験に合格するには、味噌汁が出来るのは当然のことであって、大事なことは、設問に即したように、いわば味噌汁に味付けをできるかのです。


合格答案の書き方について(8・具体例①)

刑事訴訟法の典型論点である、「違法収集証拠の証拠能力について」論証パターンを示したいと思います。



捜査において、証拠物の押収手続きに違法があった場合、その証拠物の証拠能力はどうなるであろうか。これに関する明文がないことから問題となる。


たしかに、証拠物の押収手続きに違法があったとしても、証拠物の証明力には差異はない。また、捜査は流動的であるから、些細な違法があるにすぎない場合にまで証拠物の証拠能力が認められないというのでは、却って実体的真実の発見(1条)を阻害することになる。

しかし、証拠物の押収手続きに違法があった場合、これを証拠として採用することが許され、裁判所が有罪と認定するならば、司法の廉潔性に反するし、違法な捜査を抑制できず、適正手続の要請(憲法31条)にも反する結果となる。さらに、人権を侵害する虞が高い強制捜査を行うには、公平な立場にある裁判官が事前にその必要性を審査し、裁判官が発する令状によることが要請されている(令状主義憲法33条、35条等)。


そこで、私は、証拠物の押収手続きに令状主義の精神を没却するような重大な違があり、これを証拠とすることが将来の違法捜査を抑制する見地から相当でないと認められる場合には、証拠物の証拠能力は否定されるべきであると考える。


以上を前提にして、設問を検討する。


これでどんなものでしょうか。


この程度の論点は判例を理解して、その言い回しを暗記しないといけません(ただし、判例は一つの文章が長いので、そのまま書こうとすると、主語と述語が対応しない等おかしな文章になってしまいます。そのため、短く切って、接続詞でつなぎ、論理を展開することになります。)。


それらしいことは書いてあるのですが、どうして「重大な」違法がある場合に限るのか、論述がない答案がありますね。

Appendix

カテゴリ

Extra

プロフィール

オグちゃん

Author:オグちゃん
平成25年5月、アメーバ・ブログから引っ越してきました。役に立つことも、役に立たないこともマイペースで書いています。日記のような感じでしょうか。

しかし、ブログから新しい出会いが生まれ、有難いものであるということも知りました。

最新記事

検索フォーム

アクセスカウンター

フリーエリア

QRコード

QR

天気予報


-天気予報コム- -FC2-